ヨーロッパアルプスの山々の中でもモンブラン(Mont Blanc, 4810m)とマッターホルン(Matterhorn、4478m)は日本人にもその名前は知らない人はいないというほど有名です。この世界が誇るヨーロッパの2大名峰の間をつなぐロングトレイルが「Haute route(オートルート)」です。Haute routeもその特徴としてTMB同様ほぼ毎日峠越えがあり、毎日1500m~2000mのアップダウンの標高差があります。そのため絶景を見るポイントには事欠きません。
さて今年(2018年)は「Tour du Mont Blanc (TMB: ツール・ドゥ・モンブラン)」をトレッキングで1周した後に、そのままChamonixからLe Châbleに移動し、Le ChâbleからスタートでこのHaute routeのトレッキングを楽しんでみました。なお、最終目的地はツェルマットです。
本ページでは絶景ロングトレイルの新定番「Haute route (オートルート)」、ツェルマットまでのトレッキングレポートその⑦(3日目後編)を行います。
一個前のトレッキングレポート(3日目前編)はこちら
昨晩泊まった山小屋、Cabane de Prafleuriについてはこちら
一個後のトレッキングレポート(4日目前編)はこちら
Haute routeの概要
モンブラン(Mont Blanc, 4810m)とマッターホルン(Matterhorn、4478m)というヨーロッパの2大名峰の間をつなぐロングトレイルが「Haute route(オートルート)」です。実際はフランス・シャモニーからスイス・ツェルマットまでのトレイルとなり総距離が約150㎞以上となります。
Haute routeを通して歩く人とっては、シャモニーやル・シャーブルからツェルマットに向かって歩き、ツェルマットが終点になるような行程がメジャーです。しかしどちら向きに歩くかは完全に自由です。実際歩いた印象としては、通しで歩く人はツェルマット向きで歩いている人が9割、シャモニー向きに歩いている人が1割です。
スイスジュネーブ空港からシャモニ・モンブランの街へのアクセス・バス移動・電車移動についての便利な情報について以下にまとめていますので是非ご覧ください。
Haute routeの楽しみ方・計画の立て方・攻略の仕方について、またトレッキング以外にも観光で楽しむシャモニー・ヴェルビエの街等、以下に詳しくまとめていますので是非ご覧ください。
トレッキングレポート
本日までのあらすじ
トレッキング開始初日:
Le Châble(ル・シャーブル)→Verbier(ヴェルビエ)→Les Ruinettes→La Chaux(ラ・ショー) →Les Gentianes→Mont-Fort展望台、頂上→Les Gentianes→La Chaux、La ChauxからトレッキングでCabane du Mont Fort、Cabane du Mont Fortで一晩を過ごしました。
トレッキング2日目:
Cabane du Mont Fort → Col Termin(2648m) → Col de Louvie(2921m) → Col de Prafleuri → Cabane de Prafleuri (Prafleuri小屋)、Cabane de Prafleuriで一晩を過ごしました。
Haute Route(オートルート)トレッキング 3日目:
(下地図の太いピンク色の破線・線がこの日の行程になります。)
3日目の今日、以下の行程を進む予定にしています。
Cabane de Prafleuri → Col des Roux → Lac des Dix(ディス湖) → Pas de Chèvres(パ・ド・シェーブル) → Arolla
今日の行程のポイントは2つの急な登りです。
- Cabane de Prafleuri → Col des Roux:急登ですが距離は短い
- Lac des Dix(ディス湖) → Pas de Chèvres:急登でかつ距離が長い
ではPas de Chèvresに向かう長い登りの途中から話を再開します。
まだまだ登りが続きます。飽きるぐらい長く続く登りです。疲れとともに注意力が散漫になって怪我をすることだけは絶対に避けないといけません。
今後越えていくのは左の壁ですが、まだこの時点ではどこが越えるべきColなのかハッキリ全容が見えていません。
この場所からやっと越えるべきコルの全容が見えました。ちょっと拡大してみましょう。
ハシゴ等が見えます。あの場所がPas de Chèvresです。
そして左上を見上げると、右にPas de Chèvres、左にCol de Riedmattenという並びになります。実際写真では、Col de Riedmattenの全容はまだ見えていません。ここからの斜面がそれだけ急ということを意味しています。
トレイルを登り続けると、このようにペイントされた岩が登場します。雨で状態が良くはないのですが、今回はハシゴのあるPas de Chèvresに向かうことにします。
ちなみにCol de Riedmattenに向かう斜面はこのようになっていました。ハッキリとした登山道マークがされていませんので直登か自身でジグザグに登っていくことになります。多くのハイカーがストックをバックパックに括り付け、両手両足を使ってよじ登るように登っていました。
Pas de Chèvresに向かうトレイルはこのようになっています。浮石に注意して登って進んでいきます。
注意力を維持して進んでいきましょう。雨が降っているため岩も滑りやすいです。
多人数で登っているグループも時々います。不安定な岩の上を歩いていますので、追い抜き・追い越される時も注意が必要です。
左の壁の続きにコルになっている場所、それがPas de Chèvresです。これからこの左の壁をどうやって越えていくのか?!ということになりますね
左の壁に張り付くようにして登っていきます。滑ると大事故につながる場所になってきますので、細心の注意が必要です。筆者もここでストックをバックパックに収納することにしました。
さあ、左の壁を越える場所が近くなってきました。踏み外さないように進みます。
両手も必要になるような傾斜になってきています。重心を後ろにしてしまわないよう慎重に登ります。
ハシゴの順番待ちです。ハイカーは皆大きなバックパックを背負っているのでゆっくり確実に登ることが優先です。
筆者の前にいたハイカーが全員登り切りました。筆者も登り始めます。まずは1つ目のハシゴです。
次に2つ目のハシゴを登っていきます。
2つ目のハシゴを登った後に下の景色を眺めてみました。垂直に近い角度で結構登ってきています。
2つ目のハシゴを登り切った後は少し踊り場を歩いていきます。
こういう場所にお決まりの透け透けの床です。
3つ目のハシゴが見えてきました。その前にもう一度下を見てみます。
下には過去に使用されていたものすごく長いはしごがそのままになっています。昔のハシゴで登っていた時代は大変だったろうなと感じます。
3つ目のハシゴを登っってきました。先程までいた踊り場を眺めます。
さあ、最後の4つ目のハシゴを登ります。
4つ目のハシゴを登り切りました。先ほどの踊り場を眺めるとこのような景色です。
せっかく登りきりましたので、下の景色をみるのをやめて顔を上げることにします。正面にはこのような風景が見えています。正面左の小高いピークの上にCabane des Dix(ディス小屋)が見えています。右端上に見えている一番高いピークはLa Luette(3548m)です。
タルチョの向こうにCabane des Dix(ディス小屋)が見えています。
北西方向を眺めるとまだディス湖も見えます。
これから進む方向は相変わらずの悪天候です。特徴的な形状の山々が見えています。少し拡大してみましょう。
天気がよければ中央遠くにマッターホルン、左奥にダン・ブランシュが見える方角ですが、今日は天気が悪いので近くにある山々を見るのが精いっぱいです。下に図解します。
モンコロンは非常に特徴的な形で一度見たら忘れられない迫力があります。
眺めを堪能したらそろそろPas de ChèvresからArollaに向けて再出発しようと思います。標識上ではArollaまで1時間40分です。今日朝出発したPrafleuri小屋から大分進んできたことを実感します。
目の前に広がる山々が3500m超級で、迫力ある景色を見ながら下っていきます。
これまで一生懸命登ってきた分、どんどん下っていきます。下りは比べ物にならないぐらい楽です。
ひたすら下りつづけます。
そして、ふとトレイル脇に目をやると
咲いてます。
エーデルワイスです。前回のレポートでもエーデルワイスを見ましたが、今回の下りの中でも野生のエーデルワイスが群生している場所があります。
可憐な花です。いつも2つもしくは3つ同じ場所に寄り添って咲いています。
下りトレイルをずっと進み続けます。
しばらく下り続けていると、途中から傾斜がゆるやかになってきました。
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ここで左を選択して進み続けます。
橋を渡った後は右手に川を見ながら下っていくトレイルになります。
しばらく川沿いに下っていると右手に大迫力の氷河が見えてきました。氷河の奥にある高いピークはPigne d’Arolla(3789m)です。見えている氷河はGlacier de Tsijiore Nouveと名前になります。
Pigne d’Arolla(3789m)とGlacier de Tsijiore Nouve、大迫力です。
右手に大迫力の氷河をみながらトレイルは下りが続きます。正面の尖ったAiguille de la Tsa(3667m)が非常に印象的な形です。
La Remointseという場所を通過しようとしています。カランコロンとカウベルが鳴り響いています。
牛達は筆者を気に留めることもなく草を食べることに夢中です。逃げるどころが近づいてくる牛もいます。
中央奥にこれも特徴的な形のモンコロン(3637m)が見えています。標識が見たいのですが・・、このまま近づいてしまいましょう。
Arollaまで45分とあります。それにしても左奥のモンコロンはカヌレのような特徴的な形をしています。
筆者が標識を見ている間も、結局微動だにせず草を食べることに夢中の牛達でした。
筆者が立ち去ろうとしていると小さな黒牛が筆者の後をついてきていました。もー、と鳴いています。何か言いたげです。残念ながらここでお別れです。
右端にモンコロンです。一度気になったらどうしても眺めしまう不思議な魅力を持った迫力ある山です。下にアローラの村が見えてきました。
ジグザグに下り続けますので、時にはモンコロンを正面に見ながら下り、
時には尖ったAiguille de la Tsa(3667m)を見ながら下っていきます。
これが「モンコロン(Mont Collon、3637m)」です。かなり迫力のある山です。その後ろで尖ったピークを持った山がL’Evêque(3716m)です。
中央左の一番高いピークがPigne d’Arolla(3789m)です。
モンコロン、
Pigne d’Arolla、
そしてモンコロンとPigne d’Arollaのセット、
というような大迫力の景色を何回も眺めながらジグザグの下りをひたすら下っていきます。
ずっとつづら折りの下りです。
下り続てけているとレストランを通過します。ここにきて少し晴れ間がでてきました。
先程のレストランを過ぎるとトレイルは一気に歩きやすくなります。
ここで舗装された道路と合流です。
ショートカットして下っていく登山道もあるのですが、疲れていたこともありこのまま車道を歩き続けることにしました。
下にArollaの村の中心が見えてきました。スイスの村はその中心にかならずPostか郵便局があり、かならず村の中心のバス停の名前はArolla, Postという風にPostが付きます。下に見えている黄色のバスがポストバスと言われるスイスの公共バスです。スイスの山岳エリアをカバーする貴重な交通手段です。
Arollaの村の中心に到着しました。先ほどまで一旦晴れ間がありましたが、また雨が降り始めました。本日の宿、Arolla,postのバス停前にあるホテル「Hotel du Pigne」です。チェックインを済ませます。
このホテルの素晴らしい点として、レストランを併設していることに加え、一階が村で唯一のスーパーマーケットにもつながっていることです。
そしてまだ良い点があります。それは以下のレポートにて。
「Hotel du Pigne」については以下にまとめていますので是非ご覧ください。
せっかくモンコロンの見える素晴らしい部屋でしたが、チェックイン後は大雨になりまったく見えなくなってしまいました。本日の長い行程で疲れましたので部屋でくつろぎながら一晩を過ごすことにします。
次のレポート「Haute route(オートルート)トレッキング4日目前編」に続く!
本日の行程のおさらい
(下地図の太いピンク色の破線・線がこの日の行程になります。)
Cabane de Prafleuri → Col des Roux → Lac des Dix(ディス湖) → Pas de Chèvres(パ・ド・シェーブル) → Arolla
最後に
いかがでしたか?大迫力の絶景トレイル!Haute Route (オートルート)トレッキングレポート⑦。Haute routeトレッキング3日目後編の模様をレポートしました。初日から好天が続いていましたが、3日目の今日ここにきて天気が崩れました。天気や状況次第では突然の予定変更を考える柔軟さも高標高のロングトレイルではその必要があります。まずは怪我のないように注意しながらHaute route(オートルート)をツェルマットに向かって進み続けます!次のレポートをお楽しみに!
次のレポート(4日目前編)はこちら
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