海外旅行に行く前にみんなが一度は気にする「機内持ち込みバッグ」。一般的な観光名所を巡る旅で、街中のホテルに荷物を置いておける場合はそんなに迷うことはありません。そのような場合、多くの人がスーツケースをチェックインカウンターに預けて、必要最低限のものや貴重品を小さなカバンに入れてセキュリティチェックを受けたあと、飛行機に搭乗していると思います。
ところが、海外トレッキングとなれば事情が違ってきます。多様なアウトドアギア、カメラや三脚の存在があり、持ち運ぶ荷物に制限が出てくるケースにおいては自宅⇔空港、現地での持ち運び方を工夫する必要がでてきます。
そこで今回は、度重なる飛行機の搭乗で固定されてきた筆者のパターンを考察してレポートします。
まず言葉を覚えておこう!
海外の空港で使うかもしれない・もしくはよく出会う言葉ですので覚えておいて損はありません。
機内持ち込み = carry-on
「機内持ち込み荷物」= carry-on luggage
機内預け入れ = check-in
「機内預け入れ荷物」= check-in luggage, checked luggage, checked baggage
あなたの旅のスタイルはどんな感じ?
その①:スーツケースに小さなバッグ
着替えやお土産などをたくさん入れることができる大型スーツケースを空港のチェックインカウンターで預け入れて、貴重品などを小さなバッグ(リュックや手提げカバン)にいれて機内持ち込みにするという、一般的に良くみる海外旅行のスタイル。
その②:大きなバックパックに小さなバッグ
大きなバックパックに着替えやお土産などをたくさん入れて空港のチェックインカウンターで預け入れて、貴重品などを小さなバッグ(リュックや手提げカバン)にいれて機内持ち込みにするという、バックパッカーの代表的なスタイル。効率を考えるとこのような両面バックパックの状態に行きつきます。
その③:機内持ち込みが可能なバッグのみ
必要最低限のものを厳選して、貴重品とともに機内持ち込みができる範囲内のサイズのバッグのみで旅をするという、ミニマリストといわれるスタイル。
機内持ち込みのバッグのみで海外旅行は可能?
機内持ち込みサイズのバッグのみで海外旅行は「ミニマリスト」のスタイルで旅行する人なら可能です。しかし日本からの海外旅行となると、あれやこれやと持っていきたいのもわかります、またお土産のスペースも必要となると「ミニマリスト」スタイルでは楽しめなくなってしまう人が多いのではと思います。
機内持ち込みのバッグのみで旅行するメリットは?
機内持ち込みサイズのバッグのみでの旅行は持ち運ぶモノが制限されますが、逆にメリットもあります。そのメリットは以下のようになり、主に機動性が良くなります。
・手荷物を預けず、すべての荷物を機内に持ち込むと、チェックインカウンターで荷物を預ける時間と、到着地で荷物を受け取る時間の節約が可能です。
・到着地でターンテーブルで荷物が運ばればれてくるのを待つ必要がありません。空港に到着して、すぐに次の場所へ移動することができます。
・荷物の破損や紛失(ロストバゲージ)を心配する必要がありません。
機内持ち込みバッグには重さ・サイズの制限があることに注意!
「機内持ち込みバッグには重さ・サイズの制限がある」ということに注意が必要です。もちろん機内預け入れ荷物にも重さ・サイズが超過すれば別途追加料金が発生することも覚えておく必要があります。
例えばJAL・ANAは国際線の機内持ち込み荷物のサイズ制限は同じで、以下のような規定があります。
・W55cm×H40cm×D25cm以内
・3辺の和が115cm以内
・重さが10kg以内
機内に持ち込める手荷物の個数は1個までですが、手荷物以外にノートパソコンなどの身の回り品を1つ持ち込むことができます。
例)ルフトハンザ航空 (エコノミーなら1個、ビジネスより上は2個)
・サイズが55×40×23 cm以内
・重さが8 kg以内
例)タイ航空 (カメラやパソコンを入れるハンドバッグや鞄などを1個と、下の範囲内の手荷物1個)
・サイズが56×45×25 cm以内
・重さが7 kg以内
LCCはその値段とトレードオフの関係で機内持ち込みの手荷物サイズチェックが厳しいことと、サイズがレガシーキャリアよりも一回り小さいなど注意が必要なことが多く、いずれにせよ利用前に各航空会社のウェブサイトで確認しておくことが必要です。
海外トレッキングの際の機内持ち込みバッグをどうするか?
海外トレッキングを行う場合といってもいろんな状況があります。以下の2つが代表的なパターンになるかと思います。
①ロングトレイルを踏破する・スタートとゴールは全く別の場所になるケース
具体例としては、クングスレーデン(スウェーデン)、ロイガヴェーグル(アイスランド)、ツールドモンブラン(TMB、スイス・イタリア・フランス)、オートルート(フランス・スイス)などのロングトレイルをトレッキングで踏破する等になります。
⇒筆者は飛行機での移動において以下の方法をとります。
75~85リットルの大型バックパックの中に、折りたためるバッグ(リュック型or手提げ型)をいれておく。チェックインカウンターに並ぶ前に大型バックパックからカメラ2台(もしくは3台)とバッテリー類、貴重品を折りたためるバッグに入れ替える。
チェックインカウンターでは大型バックパックを預け入れます。筆者はカバー等せずにバックパックをそのまま預け入れしています。トレッキング用のバックパックはセキュリティーの面では弱いですが、高価なものが入ってなさそうなバックパックを狙って開ける物好きもいないようです。とはいってもある程度の覚悟は必要です。
上の写真はアイスランド・レイキャビクのケプラビーク空港で筆者が大型バックパック(Aircontact pro 75+10)を預け入れした光景です。預け入れ後にストラップ類の巻き込みトラブル等が無いようにバックルをはめた状態でいつも預け入れしています。
さらに写真左に見えるのがPatagoniaのライトウエイト・トラベルトートとサーマレスト・Zライト ソル(レギュラー)をスタッフサックに入れたものです。この2つを機内持ち込みの手荷物として今までに問題が起きたことはありません。
具体的にどんな大型バックパック?
ロングトレイル踏破のように長時間20kg超級を背負って連日長距離を歩くことを考えると、75~85リットルの大型バックパックはある程度絞れてきます。特にヨーロッパでのトレイルトレッキングにおいて空港でよく見るバックパックは以下になります。
・Deuter(ドイター):Air contact (lite/pro等)
・Gregory(グレゴリー):Baltoro(バルトロ)、Diva(ディバ) 等
・Osprey(オスプレイ):Aether(イーサー)、Xenith(ジーニス) 、Atmos(アトモス)等
・Arcteryx(アークテリクス):Bora(ボラ)シリーズ等
大型バックパックの中に入れておく「折りたためるバッグ(リュックor手提げ型)」のチョイスは?
この折りたためるバッグがポイントです。軽量・丈夫・筆者の場合カメラ2台とバッテリー類が入るとなれば必然的に20リットル以上は必要になってきます。機内持ち込み用に特化するため、バッグの背負い心地などは特に気にする必要がありません。
Patagonia(パタゴニア):ライトウエイト・トラベル・トート22L
Patagonia(パタゴニア):ウルトラライト・ブラックホール・トート・パック 27L
このパタゴニアにトラベルトートシリーズが、軽さ・容量・丈夫さ・便利さでは最強で、群を抜いています。他にもいろいろあるといえばありますが、このバッグを凌駕するものがまだ無いように思えます。
②目標の山の麓のホテルに荷物を置いてベースとし、必要な装備でトレッキング、その後ベースに帰ってくるケース。
具体例としてはスイス ツェルマットの街やグリンデルワルドのホテルに数日間連泊し、その間に名物トレッキングコースを楽しむ等になります。
⇒筆者は飛行機での移動において以下の方法をとります。
①で挙げた方法か、もしくは
スーツケース+日帰り(小屋泊1泊)トレッキングができるレベルの小~中型バックパック(←機内持ち込みできるバックパックであることがポイント)で旅行します。スーツケースをチェックインカウンターに預け入れます。スーツケースはホテルに置いて、小型バックパックで日帰り(もしくは1泊程度)トレッキングを行います。
機内持ち込みができて、トレッキングで背負い心地の良い小~中型バックパックのチョイスは?
各ブランドの35リットルまでなら(甘ければ40リットルまでなら)大体機内持ち込みが可能なサイズに収まることが多いです。30リットル以下で問題になることはまずないと思います。ヒップベルトの大きくガッチリしているバックパックはチェックインカウンターやゲートでスタッフに目を付けられる可能性があります。
ヨーロッパ内の空港で、トレッキングにも使用しかつ機内持ち込みにしているバックパックでよく見かけるのは以下になります。
・Deuter(ドイター):フューチュラシリーズ40リットル未満のサイズのもの
・Gregory(グレゴリー):ズール・ジェイドの40リットル未満のサイズのもの
・Osprey(オスプレイ):ケストレル・カイト・タロン・テンペスト・ストラトスシリーズの40リットル未満のサイズのもの
Ospreyはヨーロッパでも入手しやすいことと、その機能性・20~40リットルでちょうど機内に持ち込めそうなサイズのシリーズ展開が豊富なことから、トレッキング客が空港で背負っているバックパックの中では一番多いと思います。
・Arcteryx(アークテリクス):ブライズ25・ブライズ32、時にアルファFL30も見ます。
その他THE NORTH FACEやHaglöfsの40リットル未満サイズのバックパックも良く見ます。
カメラをどう運ぶ?
バックパックに直接カメラを入れることはせずに、上の写真のようなトップローダータイプのカメラバッグにカメラを1個1個入れてバックパックに入れています。
例えば、OlympusのOMD EM-1 Mark2に12-100mm f4の組み合わせや、Canon 6D Mark2に16-35mm f4の組み合わせならば上の写真の「Toploader Zoom 50 AWⅡ」で余裕を持ってきっちり収納することができます。
最後に
海外トレッキングなれば、多様なアウトドアギア、カメラや三脚の存在があり、持ち運ぶ荷物に制限が出てくるケースにおいては自宅⇔空港、空港での機内持ち込み・預け入れの分別、現地での持ち運び方を工夫する必要がでてきます。今回は、度重なる飛行機の搭乗で固定されてきた筆者のパターンを考察してレポートしました。皆さんはどのようなスタイルで渡航していますか?海外トレッキングに行かれる際の参考になれば幸いです。
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