ヨーロッパアルプスの山々の中でもモンブラン(Mont Blanc, 4810m)は日本人にもその名前は知らない人はいないというほど有名です。この西ヨーロッパ最高峰のモンブランを主峰としてグランドジョラスなどの4000m級の山がこのエリアに塊のように存在しており、その山群の周りを1周する約170kmのロングトレイルが「Tour du Mont Blanc (TMB、ツール・ドゥ・モンブラン)」です。
その特徴としてほぼ毎日峠越えがあり、アップダウンの累積標高差が10000mを越えるなど体力的な条件が求められますが、その分絶景を眺めることができる場所には事欠きません。
さて今年は「Tour du Mont Blanc (TMB: ツール・ドゥ・モンブラン)」を1周するトレッキング、そしてテント泊と山小屋泊を織り交ぜて楽しんでみました。
本ページではこの絶景トレイルの超定番「Tour du Mont Blanc (TMB: ツール・ドゥ・モンブラン)」1周のトレッキングレポートその⑨(4日目後半)を行います。
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今回のトレイル情報
まず、TMBはどこにある?
上の地図上赤のピンが西ヨーロッパ最高峰のモンブラン(Mont Blanc, 4480m)です。その周囲にはグランドジョラスなどの4000m級の山塊があり、その周りをぐるっと一周するトレイルがTMB(上の地図のブルーのライン)です。
参考として、スイスジュネーブ空港・チューリッヒ空港、ドイツフランクフルト空港、フランスパリシャルルドゴール空港に水色のピンを打ってみました。
TMBに最も近いスイスジュネーブ空港からTMB(シャモニ・モンブランの街)へのアクセスについては以下に詳しくまとめていますので是非ご覧ください。

次に、TMBの概要について
TMB(Tour du Mont Blanc、ツール・ドゥ・モンブラン)はフランス・イタリア・スイスの3国にまたがる約170㎞のロングトレイルです。
TMBの西側半分がフランス内(ブルーのライン)にあり、TMBの南側がイタリア内(グリーンのライン)、TMBの北東側がスイス国内(赤のライン)にあります。
フランス側のシャモニーやレズ―シュからのスタートが一般的ですが、TMBをどこからスタートするか、時計回り・反時計回りにどちらに周るかは完全に自由です。
TMBの楽しみ方・計画の立て方・攻略の仕方について、トレッキング以外にも観光で楽しむシャモニーの街等、以下に詳しくまとめていますので是非ご覧ください。




トレッキングレポート
<前回までのあらすじ>
TMB1周初日はTré-le-champからLac de cheserysまで登り、シェズリー湖畔で野営、ワイルドキャンプで一晩を過ごしました。
2日目、Lac de cheserys → La Flégère → Planpraz までトレッキングを行い、Le Bréventに立ち寄った後、Chamonix → Les Houches → Le Prarionという行程で、綺麗な夕焼けを楽しんだ後、Hôtel Le Prarionで一晩を過ごしました。
3日目、Hôtel Le Prarionからモンジョワ谷の底部を歩き続け、Les Contamines(レ・コンタミンヌ)の町を通過し、その先のCamping du Pontetでテント泊を行いました。
そして4日目前半、Camping du Pontetからの長い登りをトレッキング中、やっとCol du Bonhomme(ボンノムのコル)が見えてきました。
本ページでは4日目後半の模様をレポートをしていきます。
Col du Bonhomme(ボンノムのコル)に段々近づいてはいるのですが、なかなかどうしてたどり着きません。そしてまだまだ先に急登が見えています。
我慢強く登り続けます。
各自のペースで休憩をとりながら、他のハイカー達と抜きつ抜かれつを繰り返しながら登っていきます。この登りの間に同じ人と何回も会釈することになります。
大分近づいて来たか?!
Col du Bonhomme(ボンノムのコル)の周囲がハッキリと見えてきました。もうちょっとです。
Col du Bonhomme(ボンノムのコル)はもうすぐそこです。コルの向こうはどんな景色だろうと期待しながら歩いていきます。
Col du Bonhomme(ボンノムのコル)に到着しました。途中色々休憩込みで、Camping du Pontetを出て約5時間30分です。
ボンノムのコルから今まで歩いてきた道を振り返ってみました。昨日から歩き通してきたモンジョワ谷が遥か遠くになりました。右側の連峰をちょっと拡大してみます。
写真中央やや左下に湖(Lacs Jover)、右にMont Tondu(3192m)が見えています。そこから峰続きでイタリア側に行くとAiguille des Glaciers(3815m)がありますが今は見えていません。さらに一番奥に白く高く少しだけ見えているのがDôme du Goûter(4304m)で、Dômes de Miage(3670m)はそのてっぺんがちょうど雲に隠れています。
次にボンノムのコルから東方向にLe Bonhommeを眺めます。では、さらに右手の南方向を眺めてみましょう。
ボンノムのコルから眺める南方の景色です。もうちょっと拡大して見てみます。
まず目印になるのが特徴的な形のAiguille de la Nova(写真中央の遠くのこんもりとしたとさかのような形のピーク)、その右の雄大なピークがAiguille du Grand Fondです。Aiguille de la Novaの左のピークがPointe de la Combe Neuveです。
さて、ボンノムのコルにある標識です。今から向かうのはRefuge du Cols de la Croix du Bonhomme(ボンノム小屋)で所要時間50分とあります。もう十分登ってきたので、今後登りがないといいなぁと淡い期待をしてトレッキング再開です。
ボンノムのコルからは南東向きにトラバースしていくようなトレイルです。
抱いていた淡い期待はむなしいぐらいに、トレイルは間もなく結構な登りになっていきます。
悲しいぐらいにまだまだ登りが続きます。
登ってきた分、遠く右手にLac de la Gittazが見えるようになりました。
ボンノムのコルから登り続けていくと、何か行先が途切れています。どうなっているのでしょう?
滝になっていました。適当な足場を選んで渡ります。渡った先が結構急斜面ですので滑らないように注意です。
この先てっぺんに何かが見えてきます。今日の登りはあそこまで行けば終わりなのか?!と今度こそ期待しながら登っていきます。
やってきました。ここで今日の上りは終わりのようです。というのも次の写真。
ここから下にRefuge du Cols de la Croix du Bonhomme(ボンノム小屋)が見えました!早く休憩したい一心で降りていきます。
ボンノム小屋に到着しました。レセプションへは外靴置き場の入り口からではなく、ぐるりと回りこんでレストラン入口から入ってアプローチします。
レセプションに行くだけならば登山靴を脱ぐ必要はありません。レセプションで、テント泊をしたい旨伝えて、テント1つ、1人であることも伝えます。テント設営に関しては無料で、設営場所はヘリコプター着地場所以外は自由にどこでもOKとのことです。向かってレセプション左のキッチン(ガスと水道(飲用可))を使って良いですよという説明を受けます。なお、そのキッチンの中に各種バッテリー充電が可能な電源コンセントもあります。
そのキッチンの様子です。電源コンセントはまさに取り合いのようです。筆者はここで手持ちのナルゲンボトル1リットル×2に飲料水を補充しました。
どこでもいいと言われましたが、テント設営に適した場所がボンノム小屋からさらに少し下って行った場所にあります。ボンノム小屋の前で今日のトレッキングを終えたハイカーたちが日光浴をしています。
山小屋より少し下った先にテント設営に適した場所があります。筆者のいつもの赤いHilleberg SOULOも見えますね。
水分の補充をして小屋からテントに戻る途中、今朝Camping du Pontetで出会ったSueさんと再会しました。お互いの無事をたたえて「登りきつかったねー」など話しながらお互いのテントに戻ります。なお、筆者よりも早く到着したSueさんは一番手前のグリーンのテントでした。
この日は夕方5時の時点でまだ天気が良く、昨日の大雨で十分に乾かなかったテントやその他の衣類を干すことができました。ご丁寧にも石が積み重ねてあって風よけにもなっています。
ボンノム小屋からそのまま南東の方角に下った先にはLes Chappieuxの村があります。TMB本道はこのTMBルートの中で最南端の村Les Chappieux(レシャピュー)を経由するルートになりますが、筆者は明日はCol des Fours経由でLa Ville des Glaciersに行く予定にしています。Les ChappieuxからLa Ville des Glaciersまではバスで行くこともできますので、天候等の状況次第ではLes Chappieux経由も頭に入れておくと良いと思います。
今日の日の入り21時前で、今は18時。少し横になって山々を眺めながら休みます。
20時50分綺麗な夕焼けになっています。テントから出て写真を撮っていると周りのテントのハイカー達も写真を撮っていました。みんな考えることは一緒です。Les Chappieux方面を眺めたときに見える高い山はMont Pourri(3779m)です。
テント入りでもう一枚撮影して、夜暗くなるまで少し休むことにしました。昼間は雲が少なかったのですが、夕方以降雲が増えてきました。
うっかり朝まで寝過ごしてしまうところでした。日付が変わって0時30分テントの外に出てみました。残念ながら雲が結構あります。でもせっかくなので撮影しておくことにしました。雲があってもまあこれはこれでありかもしれませんね。
テントに戻って横になるとすぐ、気付かない内に眠ってしまいました。長い登りで疲れていたようです。
さあ、明日はイタリアに入ります。そしてテント泊を続けてきた筆者にとって新たな問題が出現です!どうするのか!?そしてその問題とは?
次のレポートTMB1周5日目前半に続く!
次のレポート(5日目前半)はこちら

最後に
いかがでしたか?絶景トレイルの超定番!ツールドモンブラン(TMB)1周トレッキング!レポート⑧。TMB1周開始4日目の後半の模様をレポートしました。モンジョワ谷のCamping du Pontetから長々と続いたボンノム小屋までの登りが終わりました。さあ明日からイタリア国内に入ります。とにかく怪我のないように注意しながらTMB1周を続けることが大事です!次のレポートをお楽しみに!
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