登山愛好家なら知らない人はいないアルピニストの聖地、マッターホルン (Matterhorn)。そのマッターホルンの麓にある村がツェルマット (Zermatt)です。発達した登山鉄道やロープウェイのおかげで山の絶景が比較的容易に堪能できること、古い町並みと調和した洗練されたホテル・レストラン・各ショップが充実していることで、夏も冬も多くの観光客を惹きつけてやみません。
スイスの他の山同様、ツェルマットでも上りは登山鉄道やロープウェイを利用し、さらに展望台で山の絶景を楽しみ、そして下りはハイキングで帰ってくるという楽しみ方ができます。なお、ツェルマットから高い標高にある各展望台にアクセスする方法は大きく分けて「3本のライン」です。
今回は実際の写真も交えてこの「3本のライン」について概要を説明します。
(1本ずつのラインについては別記事で説明します。)
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ヨーロッパアルプス観光・トレッキングに適したレンズ・カメラについて別ページで考察をしていますのでこちらも是非ご覧ください。
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まずマッターホルンについて知っておこう
ヨーロッパアルプスの名峰の中でも突出した人気を誇るマッターホルン。四角錐型の独立峰で、スイスとイタリアの国境上にそびえたっており、4478mの最高地点はイタリア領内になります。
シュバルツゼ―から頂上までの登攀ルート(ヘルンリ稜)で今では多くの登頂者がおり、ヘルンリ稜の麓にはヘルンリ小屋があります。
上の写真で正面に見えている(向かってヘルンリ稜の左側)が「東壁」で、風の影響でいつも山頂からこの東壁にかけて旗雲がたなびいているように見えます。(上の写真は無風状態の写真になります)
上の写真で、向かってヘルンリ稜の右側が「北壁」で、急峻でかついつも暗くなっています。マッターホルン北壁は真夏でも氷が張り付き、制するのに非常に困難な氷壁として有名です。
そしてこのマッターホルンの麓にある村がツェルマット (Zermatt)です。登山鉄道やロープウェイを利用してこのマッターホルンの絶景を眺めることができる各展望台・ハイキングルートにアクセスすることができます。
ちなみにアウトドアブランド「The North Face」の由来になっているのはヨーロッパアルプスの難壁中の難壁であるアイガーの北壁(ザノースフェイス)と言われていますが、山の最も寒く、最も征服が困難なルートのことを一般にThe North Faceと呼びそれにちなんでつけた社名であるとのことです。なお、同ブランドの3本のラインは、世界三大北壁の「スイスのアイガー北壁」と「マッターホルン北壁」、「フランスのグランジョラス北壁」を意味しています。
ツェルマットの村についても知っておこう
上は駅前広場の写真。左側にブリーグ(Brig)からのMGB鉄道(Matterhorn Gotthard Bahn)のツェルマット駅(Zermatt Bahnhof)があります。馬の奥にゴルナーグラート(Gornergrat)登山鉄道駅が見えます(白に黄色の看板)。
そしてツェルマットにはガソリン車がなく、まさしく排気ガスに汚染されていない村です。ここでは物品の運搬からタクシー業務まで馬車・電気自動車で統一されています。
上の写真はメインストリートの「バーンホフ通り(Bahnhofstrasse)」。
この先すぐの交差で左に曲がるとスイスお馴染みのスーパーマーケット「ミグロ(Migros)」があります。
花を飾った古いシャレー・レストラン等を眺めながらバーンホフ通りを進むと、左に高級ホテル「グランドホテル ツェルマッターホフ(Zermatterhof)」そして正面に教会があるドルフ広場(Dolf Platz)に着きます。
ここで左折し左手に墓地を見て下って行くとマッターフィスパ川(Matter Vispa)にかかる橋になります。そこで右手にマッターホルンを眺めることができます。写真は風の影響で東壁に旗雲がたなびいたマッターホルンで、これもまたマッターホルンらしい風景です。
ツェルマットでおさえておくべき3本のラインはこれだ!
(著作権の問題があり既成のマップを載せることを避けました。自作で拙くてすいません!)
では、向かって左から説明します。
紫色で示したライン
- ツェルマット⇒スネガ(Sunnegga) [地下ケーブルカー]
- スネガ⇒ブラウヘルト(Blauherd) [6人乗りロープウェイ]
- ブラウヘルト⇒ロートホルン(Rothorn) [多人数乗りロープウェイ]
の3つで構成されるラインです。
スネガエリアのトレッキングレポートはこちら
大人一人の夏季料金の例(7月1日~8月31日、片道/往復) (2017年11月時点)
- Zermatt – Sunnegga : 17.50 CHF/ 26.50 CHF
- Zermatt – Blauherd : 33.00 CHF/ 53.00 CHF
- Zermatt – Rothorn : 48.50 CHF/ 73.50 CHF
- Sunnegga – Blauherd : 16.50 CHF/ 26.50 CHF
- Sunnegga – Rothorn : 31.00 CHF/ 49.50 CHF
- Blauherd – Rothorn : 15.50 CHF/ 24.00 CHF
- 備考1:~8.99歳は無料、9歳~15.99歳までは半額です。
- 備考2:スイストラベルパス、スイス半額カードを使用すれば半額になります。
赤色で示したライン
ツェルマット⇒ゴルナーグラート [登山鉄道] の単一の交通機関で構成されるラインです。
ゴルナーグラートからのトレッキングレポートについてはこちら
大人一人の夏季料金の例(7月1日~8月31日、片道/往復) (2017年11月時点)
- Zermatt – Gornergrat : 57.00 CHF/ 114.00 CHF
- Zermatt – Rotenboden : 51.00 CHF/ 102.00 CHF
- Zermatt – Riffelberg : 36.00 CHF/ 72.00 CHF
- Zermatt – Riffealp : 25.00 CHF/ 50.00 CHF
- Riffealp – Gornergrat : 38.00 CHF/ 76.00 CHF
- Riffealp – Rotenboden : 29.00 CHF/ 58.00 CHF
- Riffealp – Riffeberg : 20.00 CHF/ 40.00 CHF
- Riffeberg – Gornergrat : 27.00 CHF/ 54.00 CHF
- Riffeberg – Rotenboden : 15.00 CHF/ 30.00 CHF
- 備考1:~8.99歳は無料、9歳~15.99歳までは半額です。
- 備考2:スイストラベルパス、スイス半額カードを使用すれば半額になります。
青色で示したライン
- ツェルマット⇒(フーリ⇒シュワルツゼー)⇒トロッケナーシュテーク(Trockener Steg)[6人乗りロープウェイ]
- トロッケナーシュテーク⇒マッターホルングレッシャーパラダイス[大型ロープウェイ]
の2つで構成されるラインです。
このエリアのトレッキングレポートはこちら
大人一人の夏季料金の例(7月1日~8月31日、片道/往復) (2017年11月時点)
- Zermatt – Furi : 12.00 CHF/ 18.50 CHF
- Zermatt – Schwarzsee : 35.00 CHF/ 55.00 CHF
- Zermatt – Trockener Steg : 47.50 CHF/ 72.50 CHF
- Zermatt – Matterhorn glacier paradise : 71.50 CHF/ 110 CHF
- Furi – Schwarzsee : 24.00 CHF/ 39.50 CHF
- Furi – Trockner Steg : 40.50 CHF/ 61.50 CHF
- Furi – Matterhorn glacier paradise : 60.50 CHF/ 92.50 CHF
- Schwarzsee – Trockener Steg : 20.00 CHF/ 31.00 CHF
- Schwarzsee – Matterhorn glacier paradise : — / 72.50 CHF (往復のみの設定)
- 備考1:~8.99歳は無料、9歳~15.99歳までは半額です。
- 備考2:スイストラベルパス、スイス半額カードを使用すれば半額になります。
- 備考3:ZermattからMatterhorn glacier paradiseまで行き、帰りはMatterhorn glacier paradise⇒Schwarzseeで降りるとしても、購入するのは「Zermatt⇔Matterhorn glacier paradise往復チケット(110CHF)」になります。
- 備考4 : 青のライン外になりますが、Furi – Riffelberg : 24.00 CHF/ 38.50 CHFというロープウェイもあります。
ツェルマットで押さえておきたい3つの乗り場まとめ
ゴルナーグラートバーン(GGB)はツェルマット駅から歩いてすぐの場所にあります。スネガのケーブルカーはツェルマット駅から少し歩きますが7分程度の距離です。
フーリ・シュバルツゼー・トロッケナーシュテーク・グレッシャーパラダイスへ向かう本ページで紹介した青のラインのロープウェイ乗り場はツェルマット駅から歩いて20分程度の距離になります。
ツェルマット交通機関乗車のTIPS
・IDとなるものを必ず携帯しておきましょう。(パスポートを持っていたらパスポートがベスト)
・チケット購入の窓口で、スイス半額パスもしくはスイストラベルパスの提示とパスポートの提示を求められます。
・多くの場合、乗車値から目的地までの一括購入がチケットとしては安くなります。(途中まで乗って、またそこから買い足しするとTOTALのチケット費用は高価になります)
最後に
いかがでしたか?マッターホルンの絶景を堪能する上で、ツェルマットを起点にしている交通機関をすべて網羅するとごちゃごちゃしてとっつきにくいところを、本記事では大きく3本のラインに分類して簡単に図解で説明してみました。ツェルマット観光ならまず、この主要な交通機関をおさえてそれからアレンジするとプランが立てやすいと思います。是非ツェルマット観光の参考にしていただければと思います。また、各ライン・展望台・ハイキングコースについて実際の写真を交え記事を今後アップしていきますのでどうぞお楽しみに。
Zermattエリアの他のトレッキングコース、その他便利情報はこちら
Zermattエリアのホテルの予約が希望日で取れない時や、天気次第でエッギスホルンやベットマーホルンからの壮大なアレッチ氷河や裏ユングフラウの眺めを楽しむトレッキングに切り替えたい場合はBrigでの宿泊がおススメです。Brigについては以下にまとめていますので是非ご覧ください。
筆者が泊まったことのあるホテルの中で、おススメホテルその②
ホテルの詳細を、(そのまま予約も可能)
バーンホフ通りからマッターフィスパ川にかかる橋を渡り、その後やや左に緩やかに登っていった場所にあるとてもシャレーの外観の素敵なホテルです。つまりモルゲンロートを撮る定番の橋までは歩いて数分で行くことができます。部屋はマッターホルンビューにこだわらなければ比較的安く泊まることができ、各種サイトのレビューでも上がりますが朝食が比較的充実しています。筆者はこのエリアの宿泊を多用しますが、このエリアはマッターホルンビューの部屋があるホテルが多く、そこに泊まることができて晴れていたら本当に素晴らしいマッターホルンを眺めることができます。
筆者が泊まったことのあるホテルの中で、おすすめホテルその①
ホテルの詳細を、(そのまま予約も可能)
バーンホフ通りからマッターフィスパ川にかかる橋を渡ったところにあります。つまりモルゲンロートを撮る定番の橋のすぐそばということになります。部屋はマッターホルンビューにこだわらなければ比較的安く泊まることができ、各種サイトのレビューでもかなり評判のいいホテルです。施設も綺麗で、天候が悪いとき用にDVDの貸し出しサービスもあります。施設スタッフはフレンドリーでおススメのレストラン等もこちらが尋ねた以上に教えてくれたり、そこまで大きくないホテルならではのホスピタリティを感じます。
コメント
今年の8月にTMBとツェルマット定着ハイキングに行きます。このWBページ情報を基に準備しています。とても参考になっています。写真は見たいなと思う画角で撮っていただいているの助かります。特に山座特定解説素晴らしいです。
今後も、フォローをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
コメント誠に有難うございます。
今年8月にTMBとツェルマットを楽しまれる予定でいらっしゃる事、素晴らしい山行予定ですね!天候が良い状態での山行になることをお祈りいたします。
当ブログでは、日本ではあまり知られていなくても現地で見るととても印象的な、そして素晴らしいヨーロッパアルプスの山々の名前と説明に力を入れてみました。
その件につきましてコメントいただきとても嬉しく思っております。
なお、ツェルマットエリアから見える山々はサースフェーエリアからも違った角度で見えて山の様子がよくわかります。見え方がまさに裏表の関係のような山もあります。
もうご覧になっておられるかもしれませんが、もし宜しければ拙ブログのサースフェーエリアの山行レポートもお楽しみいただければ幸いです。
拙ブログのサースフェーエリアのカテゴリー
TMBのプランニング等現地に行かれるまでに準備が多くお忙しい中、この度はコメント誠にありがとうございます。拙ウェブサイトが大変貴重なヨーロッパアルプス山行旅行のプランニングの一助となっておれば幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。
enjoytravelingsolo