ヨーロッパアルプスの中でもとマッターホルン(Matterhorn、4478m)やヴァイスホルン(Weisshorn、4506m)、ドーム(Dom、4545m)、その他4000m超級の山が沢山存在し、さらには大迫力の氷河、美しい湖など、国全体として大自然が織りなす景色を楽しむには事欠かない国、スイス。そして観光客が皆驚くのは各観光地への充実した、そして快適な交通網です。公共交通機関を駆使すれば行けない場所はないというぐらいスイスの交通機関は発達しており、その乗車券の購入、乗換えのプランニングもとても簡単にできるようになっています。今回はそのスイスの観光を支える大黒柱、「スイス鉄道・ポストバス」の乗車チケットを自動券売機で購入する方法の徹底解説を行います。
ココが凄い!スイスの鉄道
スイスの鉄道の歴史と現在
1800年代後半スイス国内に私鉄として多くの路線が建設され始め、1902年にスイス連邦鉄道(SBB、スイス国鉄)が設立され、路線のいくつかが国有化されました。しかし国による買収が徹底化しなかったこともあって、多くの路線は私鉄のまま残りました。その中には国際連絡上重要な幹線もあり、現在約60社の私鉄が存在し、国鉄路線約3,000kmに対して私鉄路線が約2,000kmです(スイスにある鉄道路線は5,380kmとの総延長となっており、路線密度では世界一)。
さらに、国鉄 – 私鉄の直通運転も盛んなこと、国鉄路線でありながら私鉄に運行が委託されている区間が多くあることも特徴で、利用客が国鉄と私鉄の違いを意識することはほとんどありません。
国際連絡上重要な幹線を走る列車は車両数も多く、どの列車も観光立国としての意識は高く車内清掃も行き届いていて、非常に清潔で快適です。スイストラベルパスやスイスハーフフェアカードなどの観光に非常に便利なチケットシステムがあり、ほとんどの観光客がこの割引システムを利用してお得に各地の観光を楽しんでいます。
なお、「SBB CFF FSS」とひとまとめに列車や駅に表記されることが多く、
SBBはドイツ語で「SBB – Schweizerische Bundesbahnen」
CFFはフランス語で「CFF – Chemins de Fer Fédéraux Suisses」
FSSはイタリア語で「FFS – Ferrovie Federali Svizzere」
の意味があります。列車やウェブサイトには必ず独仏伊語の略称を連ねた「SBB CFF FFS」という表示が用いられています。
路線密度の世界一でもあるスイス。スイスの鉄道とポストバスと自分の脚を駆使すれば、山岳地帯の村で行けないところはない、というのが筆者個人の考えです。
スイスの鉄道・ポストバスの乗車券の購入方法
スイスの鉄道・ポストバスの乗車券の購入方法としては、
- 駅窓口で購入する
- 駅にある自動券売機で購入する
- SBBのウエブサイトで購入する
- SBBやPostbusのアプリでで購入する
以上の4つがメジャーな方法です。
今回は「駅にある自動券売機で購入する」を徹底解説していきます。
駅にある自動券売機で購入する
上の写真にある機械がスイスの鉄道駅にある一般的な自動券売機です。慣れてしまえば非常に簡単に近中距離の列車の券が買えてしまいます。
では解説していきましょう。
まず機械に近づいてみましょう。
初期画面はこのようになっています。ドイツ語、フランス語、イタリア語に加えて英語もありますので安心してください。
画面のどこでもいいので指でタッチします。
すると、この画面が表示される場合があります。この画面は今は現金が使えませんよというお知らせです。クレジットカードは問題なく使用できます。なお、現金が使用可能な時はこの画面は現れません。初期画面はドイツ語表示になっていることが多いので、画面右下の「English」ボタンを指でタッチします。
言語を「English」に変更すると見慣れた単語の「Next」ボタンが見えてきます。「Next」ボタンをタッチします。
するとこの画面になります。なお、現金も問題なく使える場合の初期画面はこの画面のドイツ語表示です。ここでも右下の言語ボタンで「English」を選択することが可能です。
頻繁に選ばれる行先候補地が初期画面の左にすでにリスト表示されます。もしこれから向かう行先がこのリストにない場合は、下にもリストが続いていますので、「下向きボタン」を写真のように指でタッチしてみましょう。
下向きボタンをタッチしてリストの下まできました。
では例として、今回は、
「これから「Saas-Grund」に行きたい」というお題にしましょう。
なお今回、Saas-Grundは画面左の「よくある行先リスト」の中にはありませんでした。
そういう時にはこれから説明する手順を実行していきます。
画面のように「Alternative connections」のボタンを指でタッチします。
するとこの画面になります。初期設定ですでに出発駅は自動券売機の設置されている駅名が入っています。この出発駅も自分で入力することで変更することが可能です。
そして、右のボックスが行先を決める場所です。これから行先を入力していきます。「Enter destination point」のボタンをタッチします。
今回は「Saas-Grund」に行きたいので、まず頭文字の「S」をタッチします。
頭文字の「S」に続いて「A」「A」「S」と入力していきます。キーボードの上に白い部分がありますので、そこにSAASと入力済なのが見てわかります。
文字を入力していくと、それに合致する候補の数も絞られてきて、画面上のリストにどんどん表示されます。上の写真ではまだSaas-Grundは見えてきていませんね。
SAASGまで入力するとSaas-Grundエリアのバス停リストが出てきました。下にもまだリストは続いています。リストのスクロールは右横にある下向きボタンをタッチします。
なお、Saas-Grundには鉄道はありませんので、ポストバスが現地に向かう交通機関です。そしてお気づきの通り、スイスの駅にある自動券売機はスイスの鉄道だけでなくポストバスの乗車券にも対応しています。
Saas-Grundエリアのバス停リストが出ていますが、筆者の行きたい「Saas-Grund, Post」はこの画面では表示されていません。下にもまだリストは続いていますので、リストをスクロールダウンして下を見てみます。
候補リストをスクロールダウンすると、今回の筆者の行先「Saas-Grund, Post」が出てきました。ここで「Saas-Grund, Post」を指でタッチします。
するとこの画面になります。乗車券を購入してその日の直近の出発便に乗る場合は「immediate departure」をタッチ、直近以外または後日ならば「Later departure」をタッチします。ポストバスや2等席の列車に関しての乗車券購入では、日付指定のみで、指定した日のどの時間帯でも乗車できるようになっています。
筆者はBrigからVisp経由でバスでSaas-Grund, Postに向かいますので上のボタンをタッチします。
次にこの画面になりますので、ここで片道乗車券を購入するか往復乗車券を購入するかを決めます。どちらかをタッチします。
なお、この片道・往復を選択する画面の下部分には利用可能なオプションのリストが出ています。
また、この片道・往復を選択する画面の次にファーストクラス、セカンドクラスがある列車の場合はその選択をする画面が出てきます。
今回筆者はスイスハーフフェアカードを持っていませんので、半額ではなく全額で購入するので上のボタンをタッチします。ハーフフェアカードを持っていたら下のボタンをタッチします。
左に今までの内容のまとめ、右に総額と支払い方法の選択肢が表示されます。この券売機ではクレジットカードと現金使用可能のようですね。
なお、写真のようにクレジットカードは画面の右横、現金紙幣を入れる場所はカード挿入口の下、クレジットカードの暗証番号を入れるテンキーは右上にあることが多いです。
JPYとCHF2通りで料金が表示されていますので、どちらの通貨で支払うか適当に決めて、その後暗証番号を入力します。
クレジットカードの暗証番号を入力して取引が正常に行われたらこの画面になります。領収書の必要な場合は左のボタンをタッチします。
領収書の有無を選択した後は、この最終画面になります。お疲れさまでした。あとは券が印刷されて出てくるのを待ちましょう。約7~8秒です。
印刷された乗車券と領収書が下に出てきました。これで完成です。
慣れたらこの自動発券機でパッパと簡単に乗車券を購入することができます。
スイスの駅の窓口はどこでも素晴らしく丁寧な対応ですし、SBBのウエブサイトも簡単に検索・購入ができます。またポストバスのスマートフォン用Appもかなり使い勝手の良い手段です。その中でも現地の駅にある自動発券機での購入も知っておくと便利な事間違いなし!
最後に
いかがでしたか?大迫力の絶景トレイル!「スイス 近中距離の電車乗車券 自動券売機ではこうやって買う! 徹底ガイド!」。自動発券機での乗車券購入方法の解説を行いました。あらかじめやって購入するかを知っておくと現地でもスムーズに購入できることができると思います。是非プランニングの段階から楽しんでみてくださいね!
コメント
白旗と申します。先日はご丁寧なご回答を頂き、まことに有難うございました。
今回は、ポストバスチケットの自販機での買い方を見つけました。本当に感謝の限りです。
厚かましくも 再度質問させて下さい。
画面ではVISPからSAAS GRUND POSTまでのチケット代金が18.6CHFと表示されていました。
SBBオンラインからも買えるようなので、試しに2日後の日付でチェックして見ました。
同区間で7.6CHFと出ました。10CHF以上も違うので小生はSBB経由で買おうと思っていますが
1.SBBオンライン経由では、指定した日時の便以外は乗車出来ないのでしょうか?(だから安い?) 同日なら乗車可でしょうか?
もしご存知でしたらお教えください。
いつもコメントありがとうございます。スイスでのトレッキングは予定する時点からワクワクして楽しいですね。
まず料金の件ですが、
本ページはBrig→Saas-Grund, Postのポストバス乗車券の購入例の写真になります。
ですので、Brig→Saas-Grund, PostまではHalf fare cardを持っているならば9.30CHFになります。なお、Half fare cardを持っていなければ18.60CHFになります。
すでにご存じでいらっしゃると思いますが、スイス国内ではHalf fareカードを持って旅をする人、さらに割引のパスをもって移動する人が非常に多いため、まず計算されて出てくる乗車料金は、Half fare カードありきでの料金表示になっていることが多いです。
ちなみに、Visp→Saas-Grund, PostまではHalf fareカードがあれば7.60CHF、Half fareカードがない場合は15.20CHFになります。
なお、スイスでの鉄道・ポストバスの乗車券購入にあたってはSBBのウエブサイト(https://www.sbb.ch/en/home.html)も便利ですし、さらに現地ではスマホにPostbusのアプリを入れておくと非常に便利です。スマホアプリ検索でpostbusで検索していただいて黄色いアイコンのアプリで「PostBus Switzerland」という名前ででてくると思います。現地でスマホで購入できる便利なアプリですので良ければお試しください。なおPostbusアプリをはじめ、スイスでのトレッキングを楽しむうえで便利なアプリの紹介を拙ウエブサイト
・「決定版!Haute Route (オートルート)トレッキング! 各情報を集約した便利帳!」
(https://enjoytravelingsolo.com/hauteroute-guide-quick)
・「決定版!ツールドモンブラン(TMB)1周トレッキング! 各情報を集約した便利帳!」
(https://enjoytravelingsolo.com/tmb-guide-quick)
でも取り上げておりますので是非ご覧いただければ幸いです。
SBBウェブサイトでもPostbusアプリでも乗車券には日付指定がされていますので、指定した日付以外で乗車する場合は事前にインフォメーションセンター等で乗車券の印字の打ち直しなどをされた方が無難ではあります。時間はその日の内ならば同行程で乗車料金が違わない限り乗車が可能です。またバスでも直接乗車料金を支払うことで乗車できますので、いつものクレジットカードに加え、いろんな場合を想定して現金CHFを持ち歩いておくことを強くお勧めします。
この度はコメントをいただきありがとうございました。何かご不明な点等ございましたらお気軽にお問合せ下さい。今後ともよろしくお願い申し上げます。
enjoytravelingsolo