「アルプスの頂きを海に浮かべたよう」と言われるノルウェー ロフォーテン諸島。入り組んだ海岸線と多くの山々で風光明媚なフィヨルドを形成し、見る者が立っている標高に関わらずその景色はどこをみても溜息がでるほど美しいといっても過言ではありません。
ロフォーテン諸島は5つの島からなっており、今ではすべての島に橋がかかり道路がつながっています。旅行雑誌等では「この島々を巡るにはレンタカーが必要」などとよく言われますが、目的地を絞りローカルバスの連携を生かせばレンタカーは必ずしも必要ではありません。
この魅力いっぱいのロフォーテン諸島の各地を今回実際にローカルバス・徒歩で巡り、晴れた日はトレッキング・ワイルドキャンプ、雨の日は街・博物館巡りという方法で楽しんでみました。
本記事ではノルウェー ロフォーテン諸島の中でも絶景を楽しむことができるビーチで、かつ車でアクセスすることが絶対に不可能なBunes beach(ブーネスビーチと発音)へのトレッキング、そこでのワイルドキャンプをレポートします。
ロフォーテン諸島での観光・宿泊・トレッキング・キャンプ等について以下に詳しくまとめていますので是非ご覧ください。
今回のトレイルトレッキング情報
まず、ロフォーテン諸島はどこにある?
上の地図上オレンジのピンがノルウェーロフォーテン諸島の中央にあるレクネス空港(LKN)です。
参考として、北欧4国の主要国際空港をブルーのピンで打ってみました。
北緯68度前後に位置しており、5月最終週(毎年5月26日前後)から7月中旬(毎年7月17日前後)まで白夜になります。真夜中でも沈まない太陽をみることができ、暗くなりません。
ノルウェー ロフォーテン諸島へのアクセスについては以下に詳しくまとめていますので是非ご覧ください。
次に、Bunes beachの場所
Bunes beachはロフォーテン諸島の中でも一番南西端のMoskenesøya(モスケネス島)に位置します。
ロフォーテン諸島に代表されるフィヨルドの風光明媚な風景を堪能できるトレイル・ビーチは比較的Moskenesøya(モスケネス島)に多く存在しています。Helvestindもその内の一つです。またOld Fishing villageの「Å(オー、と発音します)」もモスケネス島にあり、トレイル以外にも観光を楽しめる場所がたくさんあります。
トレッキングルートと所要時間
筆者が実際に行った以下の行程は以下になります。
レイネ(Reine)のフェリー乗り場(Reinefjorden.no)からフェリーに乗船(10:00) → Vindstadでフェリーを下船(10:15) → VindstadからBunes beachまでトレッキング → Bunes beach到着 (11:20) → Bunes beachでテント設営+休憩 → Bunes beachからHelvestind登山開始 (12:30) → Helvestind頂上 (15:00) → しばらく頂上を満喫したあと下山開始→ Bunes beach まで下山 (16:30)
・Bunes beach⇔Helvestindのトレイルとしては実質往路で2時間30分、復路1時間30分、片道距離で約2.5㎞、高低差で約480mという行程になります。
・なお、Bunes beachに寄らず、Vindstad⇔Helvestindのトレイルとしては往路で2時間40分、復路で1時間30分、片道4㎞、高低差は約490mになります。夏期(6月2週~8月最終週)はフェリーの便数が増えるのでBunes beachに寄っても日帰りが容易になります。
Helvestindへの登山(トレッキング)は以下に詳しくレポートしていますので是非ご覧ください。
なお、今回の「トレイルトレッキングTips」はページ最後に解説させていただきます。
トレッキングレポート
この日は朝Sørvågenからローカルバス18-742に乗ってReine(レイネ、現地ではレイナに近い発音)までやってきました。
前日までに念入りにyr.noでチェックした天気予報では2日連続で降水確率は低く、快晴ではないもののまずまずの印象。
まずフェリーでレイネからVindstadに向かいます。Vindstadの船着き場からBunes Beachまでトレッキングを行い、Bunes Beachでテント設営を行ったあと、荷物をテント内に残してサブパックを背にHelvestind登山を行う予定です。
では、実際のトレッキングの様子を写真を交えて解説します。
朝9時20分頃のレイネのフェリー乗り場Reinefjorden.no様子です。フェリーは朝10時発ですが、すでに15人程度がチケット窓口(写真中央の小屋)がオープンするのを待っていました。
フェリー、フェリーと言ってますが実際は「漁船」レベルの大きさです。満員乗車の場合は立ったまま乗船することもあります。
フィヨルドに雲が充満していて、今一つの天気です。天気予報では昼前から晴れになるということで、皆期待して船に乗り込んでいます。
レイネを後にして船はVindstadに向かいます。レイネのロルブーや干しダラがその背後に見えるReinebringenとマッチして素敵な景色になっています。
SakrisøyaとKvalvikaに架かる橋の下をくぐりぬけて行きます。
先程の橋を過ぎたら船はスピードアップして、ザッパンザッパンと波しぶきをあげて進んでいきます。前方に乗っている人は防水ジャケットを着用しておいた方がいいかもしれません。
Vindstadに到着しました。雲が充満していて少し残念ですが、昼から晴れるという天気予報を信じてまずBunes beachに向かってトレッキング開始です。
VindstadからBunes beachへのトレイル序盤は歩きやすい砂利道です。写真中央の丘を越えた向こう側がbeachです。
Vindstadから続く砂利道のトレイルを歩いているとこの標識が出てきます。この分岐で左側のトレイルを選択します。
そこそこの登り傾斜ですが、歩きやすい土のトレイルが続きます。
登り切ったら石畳のような平坦なトレイルになります。このまま進むと前方にパッと開けて、Bunes beachが見えてきます。
Bunes beachを見渡せるようになりました。少しずつ雲が切れてきました。この場所で休憩しながら雲が消えていく様子を観察することとします。
予報通り昼近くになり雲が消えていきました。天気予報サイトyr.noの的中率おそるべしです。一気に辺りが明るくなります。下に降りて自分好みのテントの設営場所を探すこととします。
海辺に近すぎず遠すぎず、平坦で坂になっていない場所で、岩がゴロゴロ上から落ちてこなさそうな場所をいろいろ探した後、テントを設営しました。今回ロフォーテンに持ち込んだテントは日本の北アルプス縦走からアイスランドまで厳しい状況で何十泊も耐えてきて未だ健在のアライテント エアライズ2です(多少穴があいたりリペアを繰り返していますが・・)。一人使用では贅沢すぎるほどの広さがお気に入りです。
テント設営を済ませた頃には空は快晴になっていました。
なお、筆者が使用しているテント等道具について以下にまとめていますので是非ご覧ください。
テント設営後、しばらく休憩ののちHelvestind登山を行うことにしました。サブパックに必要物品を詰め替えて、Bunes beachを後にしてまた登り始めます。テントがもうあんなに小さくなってしまいました(写真中段右に見えます)。
Helvestindの登山(トレッキング)に関しては以下に詳しくレポートしていますので是非ご覧ください。
Bunes beach ⇔ Helvestindの往復計4時間の絶景トレッキングから帰ってきました。これでもかというぐらいの快晴です。雲が充満していた今朝の空が嘘のようです。筆者がHelvestindトレッキングをしている間に新たに2つのテントが離れた場所に設営されていました。
では、少し辺りを散策してみることにします。
筆者は水を持ち込んでいたの汲み取る必要はありませんでしたが、流水を汲みとることができそうな場所もありました。
誰も歩いていない海岸で、あるのは波の音だけです。
夕方6時30分頃です。お腹も空いてきたので適当にいつもの超シンプルパスタを作って食べます。テント内にマットを敷いてしまったら最後、いつでも横になれる態勢になってしまって、ズボラなクッキングです。
午前1時太陽は沈まずそのまま岩の影に隠れて海上にあります。綺麗なブルーとオレンジのグラデーションに見とれてしまい、テント内で寝転びながら気付かないうちに何枚も写真を撮っていました。
翌朝も快晴です。朝7時には朝食・テント撤収を済ませ絶景を楽しんだBunes beachを後にしました。昨日来た道を戻ってVindstadに向かいます。
この晴れ具合がずっと維持されてほしい、と願いながらトレイルを歩いていきます。
Bunes beachから歩くこと1時間と少しでVindstadの船着き場に到着しました。晴れていたらこのあたりの風景も絶景です。
Vindstadの船着き場には小屋があり、中に入って座って船の到着を待つことができます。
ベンチとテーブル・椅子、電源コンセントがあります。スマートフォンの充電が可能です。
午前10時15分、レイネからの船が到着しました。今日は天気も良いためか乗客も多いです。
多くの人がBunes beach目的にVindstadで降りていきます。この天気でトレッキング開始できるなら最高の一日だと思います。筆者が前日到着したときはどんよりと雲が充満していて周囲の景色は全く違って見えていました。
さあ、いまからKjerkfiordに向かいます。次の目的地はHorseid beach(ワイルドキャンプ)とMarkan(登山)です。連日のワイルドキャンプとトレッキングに胸が高鳴ります。
Tips
・Helvestind、Bunes beachへのトレッキングはレイネからフェリーに乗ってVindstadに向かうことが必要です。フェリーは定員を超えると乗船できないので早めに並んでおくことが必要です(目安30分前)。
・ロフォーテンではローカルバスに乗車する時に運転手に目的地を言ってクレジットカードで乗車時に支払いを行います。その際に「レイネでフェリーに乗る予定だ」と言えば運転手がフェリー乗り場最寄りのバス停「Reine skole」周辺で停車して教えてくれます。フェリー乗り場最寄りのバス停は「Reine」ではないことに注意が必要です。(もし「Reine」バス停で降りても、「Reine」バス停からフェリー乗り場までは上り坂300m程度ですので歩けばOKです)
・レイネからのフェリー「Reinefjorden.no」の乗船チケットを購入する際には自分で考えている行程を英語で結構ですので(ノルウェー語の必要はありません)しっかり販売スタッフに伝えましょう。筆者は初日Reine→Vindstad (Bunes beach泊)、2日目Vindstad→Kjerkfjordden (Horseid beach泊)、3日目Kjerkfjorden→Reineに戻ってくるという3日がかりのプランでしたが、販売スタッフ(かつ船長)はしっかり計算しチケットを販売してくれました。なお、この船長の人柄がとても良いです。
・フェリーの乗船チケット購入は現金(NOK)のみの対応です。クレジットカードには対応していませんので注意が必要です。
・ロフォーテンでのトレイルトレッキング前に必ずyr.noで天気予報チェック。yr.noは3時間毎の天気予報を出しており、ノルウェー北部にはめっぽう強いです。
・ロフォーテンのトレイルトレッキング全般に言えることですが、時に凄まじいにわか雨・雪、突風が吹き荒れますのでザックカバー、防水のレインジャケット・レインパンツは必須です。
・これもロフォーテンのトレイル全般に言えることですが、トレイルの方向を示すマークはないので、GPSの効くスマートフォンはほぼ必須。驚くほど正確に世界中のトレイルを網羅している「maps.meアプリ」の使用が非常に有用です。
その他、今回のトレイルでの写真
Bunes beachへのトレイル往路にて
Bunes beachにて
Vindstadの桟橋からの眺め
Vindstadの桟橋からの眺め
Vindstadの桟橋からの眺め
最後に
いかがでしたか?ノルウェー ロフォーテン諸島の中でも絶景を楽しむことができるビーチで、かつ車でアクセスすることが絶対に不可能なBunes beach(ブーネスビーチと発音)へのトレッキング、そこでのワイルドキャンプをレポートしました。天気が良ければ、あたりの景色はどこを見ても溜息がでるほどの美しさです。Bunes beachはまさに天然・大自然のビーチそのものですので、何もない中でテントを張って自然に溶け込んで過ごすという、これぞワイルドキャンプの醍醐味を満喫することができます。トレッキング自体はロフォーテンの中では「簡単」な部類に入りますので万人向けでもあります。ロフォーテン諸島に行かれる場合は是非このBunes beachのトレッキング・ワイルドキャンプを楽しんでみてくださいね。
コメント
火曜日から一週間、Lofoten諸島に滞在します。
うちはレンタカーを借りてホテルに泊まる、ワイルドさの全くない旅ですが、
天気予報のサイトや現地情報は大変参考になりました。
お天気は少々悪いようですが、時々の晴れを祈って。。楽しんできます!
コメントいただき誠にありがとうございます。
夏のロフォーテン素晴らしい景色を堪能される旅になると思います。
日照時間が長いために、晴れ間のチャンスは他の季節よりも多くなりますので、少しでも好天の時間があればと祈っております。トレッキング・博物館めぐり・ロルブー巡り・絶景巡りなんでもござれの素晴らしい季節のロフォーテン、素敵な旅になることは間違いないです。道中・車にもお気をつけて存分に楽しまれてきてください!
この度はコメントいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
Enjoytravelingsolo