日本の山雪山登山

【雪山山行記】美ヶ原、もはや登山ではなく大雪原歩き、もちろん絶景を見渡せて満足

美ヶ原(うつくしがはら)

最高峰は標高2034mの王ヶ頭(おうがとう)で、山頂は平坦で王ヶ頭ホテルの他に電波塔が立ち並んでいます。そこから西側に標高2008mの王ヶ鼻(おうがはな)という尾根の突端部に張り出した部分があります。東側からの車での美ヶ原へのアプローチは国道142号➤県道178号➤美ヶ原長和町営駐車場(山本小屋ふるさと館前)になります。駐車場から少し歩けば見渡す限りの大雪原が広がります。美しの塔を過ぎてから少しすると登りになりますが危ない箇所や稜線はありません。コースが広く他の登山客とのすれ違いに気を使うこともなくスノーシューの練習に適していると思います。なお、王ヶ頭~王ヶ鼻は多少のアップダウンがあります。八ヶ岳連峰、富士山、南アルプス、中央アルプス、北アルプス、上信越の山々、浅間山等が見渡せます

美ヶ原の場所

登山ルート

登山口・ベースの施設

冬期の美ヶ原を楽しむ上で東側からのアプローチはこの山本小屋ふるさと館前の駐車場(美ヶ原長和町営駐車場)からになります。国道142号から県道178号に入って標高約1940mのこの場所まで車で登ってくることになります。

山本小屋ふるさと館の建物の中で有料トイレが使用可能になっています。

山行記

2月の中旬、今日は午前11時過ぎからスタートです。美ヶ原長和町営駐車場からふるさと館を左に見て道路を歩き始めます。

ふるさと館を過ぎるとこのような眺めになりました。平坦な雪の道路を歩いています。前方に見えるのがホテル山本小屋です。

歩いてきた道を振り返ってみるとこのような景色です。バックはすでに大雪原が広がっています。

そのまま進んでいると突き当りがホテル山本小屋で行き止まりになりますが、ホテル山本小屋を正面に見て右側の雪の土手を登るとこのような看板が見えてきました。

先ほどの看板を過ぎると目の前に一面雪の大雪原が現れます。最近筆者はピークハントで岩稜帯を登るより、このような大雪原歩きが好みです。前方右側に「美しの塔」なる建造物が建立されています。

美しの塔の付近まで来ると観光で訪れた人々が写真を撮るなどして楽しんでいました。スタートからほとんど標高は変わっておらず、ここまで終始平坦な雪原歩きです。

美ヶ原のシンボル「美しの塔」です。美ヶ原が濃霧による遭難が多発したことで、霧鐘を備えた避難塔として建立されました。1954年に設置され、1983年に改築されて今にいたります。高さは約6m、この土地特産の鉄平石が使用され、南面には美ヶ原を愛した山の詩人尾崎喜八が書いた「美ヶ原溶岩台地」の詩文、北面には山本小屋を開き登山道を整備した功労者山本俊一翁のレリーフが飾られています。

美しの塔を過ぎるとこの景色が目の前に広がっていました。どこまでも続きそうな大雪原です。

もちろん人々が歩いていない雪の上を歩いて楽しむこともできます。筆者はスノーシューを履いて歩いていますので、上の写真のような足跡ができていました。

誰も歩いていない雪の上を歩いて楽しんだ後、のんびり雪上トレイル歩きを楽しみます。

路肩には雪上車が駐車されていました。

しばらく歩いていると緩やかながら登りが始まりました。行き先に王ヶ頭ホテルが見えてきました。

筆者が歩いている雪道以外にも自由に雪上をトレッキングしている人もいます。王ヶ頭からの帰りは写真で見えている雪の大斜面をザクザクと自由に下ってみようと思います。

王ヶ頭が近くなってきました。王ヶ頭は標高2034mで美ヶ原高原の最高峰に位置します。いろいろと電波塔も多く設置されています。

王ヶ頭に近くなってきた際、少し左に視線を移すと綺麗に北アルプスの山々が見えていました。山々の名称は後で別の写真で紹介します。

ゆるやかな登りですのでのんびり楽々歩いている感じです。

王ヶ頭までもうすぐです。特にペースが落ちるわけでもなくのんびり歩き続けます。

王ヶ頭に到着しました。奥に王ヶ頭ホテルが見えています。

王ヶ頭ホテルを通り過ぎて王が鼻まで行く予定にしていますので、このまま歩き続けます。

王ヶ頭ホテルを通りすぎるとこのような景色になりました。北アルプスの眺めが良さそうです。

石碑のある場所に到着しました。この場所が本当の「王ヶ頭(2034m)」ということでした。

王ヶ頭から西方向に見える場所が「王ヶ鼻」です。王ヶ頭は電波塔が多く立っているため、北アルプスを眺めるとどうしても電波塔が視界に入ってきます。王ヶ鼻の方が西に突き出ている場所になるので北アルプスの眺めは良さそうです。早速「王ヶ鼻」に行ってみることにします。

王ヶ頭に立っている案内図の看板です。今から進むのは現在位置の赤いマークから西方向で、今日は王が鼻まで行ってみます。

王ヶ頭からは特に定められていない道を下ることにしました。単なる雪の斜面です。左の崖に落ちることだけないように注意して自由気ままに下っていきます。

王ヶ頭から雪の車道部分まで下ってきました。上の写真はその時に王ヶ頭を振り返ってみたものになります。電波塔のあるところから適当に下ってきただけです。もちろん王ヶ頭ホテルの前にある雪の車道を歩いて下りてくることもできます。

王ヶ鼻方向に向かってしばらく西方向に車道を歩きます。

車道を少し下っていくと、再度登り返しがあります。あの先が王ヶ鼻ですので、そのまま歩き続けます。

車道が北方向にカーブするところで車道から登山道の方に移動します。その後しばらく緩やかな登りが始まります。

気持ちのいい雪のトレイルです。

気持ちのいいトレイルが続きます。

先が開けているようです。王が鼻が近づいてきました。

王が鼻に到着です。すでに景色を楽しんでいる人々もいました。さらに人影がいっぱいあるのかと思ったら、それらは石仏群でした。では王が鼻の先端の方に行ってみましょう。

王ヶ鼻からの眺めをぐるりと回って楽しんでみます。まず南東方向から行きましょう。

左の存在感のある山が蓼科山(2530m)です。そこから右に北八ヶ岳連峰が続きます。さらにその右に赤岳(2899m)、阿弥陀岳(2805m)、権現岳(2715m)、編笠山(2524m)と続きます。実は右端にひっそりと富士山が見えています。

では北アルプスが見える西方向です。左から明神岳(2931m)、前穂高岳(3090m)、奥穂高岳(3190m)、涸沢岳(3110m)、北穂高岳(3106m)、南岳(3033m)、中岳(3084m)、大喰岳(3101m)、槍ヶ岳(3180m)、常念岳(2857m)、大天井岳(2922m)です。ではさらに少し右に視線を移してみます。

大天井岳(2922m)から右には燕岳(2763m)、三ツ岳(2845m)あたりが見えてきます。さらに右に視線を移してみます。

餓鬼岳(2647m)の右に立山雄山(3003m)、立山大汝山(3015m)、針ノ木岳(2821m)あたりが見えます。まだまだあります、さらに右に視線を移してみます。

まだまだ圧巻の景色が続きます。蓮華岳(2799m)、剣岳(2999m)、岩小屋沢岳(2630m)、鹿島槍ヶ岳(2899m)、鹿島槍ヶ岳北峰(2842m)、五龍岳(2814m)あたりが見えています。

まだ続きます。五龍岳(2814m)の右には唐松岳(2696m)、鑓ヶ岳(2903m)、白馬岳(2932m)、小蓮華山(2766m)、乗鞍岳(2469m)あたりが見えてそれより右は標高が下がり雲に隠れていき見えなくなりました。

この山頂の石仏群は「御嶽信仰」に由来し、御嶽山の方角を向いているとのことです。

王ヶ鼻を去る前にもう一度北アルプス槍ヶ岳や穂高の連峰を目に焼き付けて楽しんでおきます。

ちなみに穂高連峰の左方向は乗鞍岳、摩利支天岳方面です。

南東方向に蓼科山や北八ヶ岳連峰、南八ヶ岳連峰が見えていましたが、麓から雲が発生して段々上がってきて視界が少し悪くなってきました。今から帰ることにします、まず王が鼻から王ヶ頭に戻ります。

王ヶ頭が行き先に見えています。新雪を時々踏んでトレースを適当につけて遊びながらのんびり歩きます。

北東方向に浅間山、黒斑山も時々見えています。

王ヶ頭に続く車道に戻ってきました。

車道をのんびり歩きます。時々往来する自動車に注意です。

しばらく歩いていると王ヶ頭ホテル・電波塔のあたりに戻ってきました。

王ヶ頭ホテルの前にあるベンチで休憩です。魔法瓶に入れた温かいお茶を飲みながら蓼科山、北八ヶ岳連峰、南八ヶ岳連峰の眺めを満喫します。

南八ヶ岳連峰から右に視線を移すと奥に富士山が鎮座しているのが見えます。

水分補給・エネルギー補給を終えて王ヶ頭から下り始めます。帰りは行きとは違い雪原の新雪の中をスノーシューでふわふわザクザクと歩いて下ることにします。

柵がある部分が雪上車が通るトレイルです。行きはこのトレイルを利用しました。

本格的に下り始める前に八ヶ岳連峰を目に焼き付けておくためにパチリ。

富士山もパチリ。

南アルプスの甲斐駒ヶ岳(2967m)、北岳(3193m)、間ノ岳(3189m)、小仙丈ケ岳(2855m)、仙丈ケ岳(3033m)、塩見岳(3047m)、東岳悪沢岳(3141m)、荒川岳中岳(3083m)、赤石岳(3120m)、聖岳(3013m)あたりが見えていましたので、これもパチリ。

下りは新雪をふわふわザクザクとスノーシュで歩いていたのですが、時々疲れて先行者のトレースを利用させてもらいます。

横を見ると一面雪の斜面が広がっています。

雪原と青空しかない風景を満喫しながら歩きます。

しばらく歩いていると美しの塔が見えてきました。

美しの塔に到着です。内部の鐘を鳴らすことができます。

美しの塔を過ぎて王ヶ頭方面を振り返って眺めた写真です。何もないよりはこの建造物があるほうが美ヶ原の景色が締まって見えてよいですね。美しの塔は絶妙な位置に建立されています。

美しの塔を眺めながら休憩していると、王ヶ頭方面から雪上車がやってきました。

美しの塔を過ぎると雪原歩きも終わりです。駐車場に帰る前に最後に目に焼き付けておこうと思い、八ヶ岳連峰とおまけの富士山をパチリ。

最後に

いかがでしたか?美ヶ原の雪山トレッキングの様子をレポートしました。冬美ヶ原長和町営駐車場からのトレッキングになります。国道142号から県道178号に入って標高約1940mのこの場所まで車で登ってきますので、行程全体を通して標高差が100mもありません。実質は王ヶ頭付近のみです。大雪原をのんびり歩く感じになりますので、スノーシューの練習にも適していると思います。そして何といっても北アルプスの一連の眺めが良い場所になります。気楽に歩くことができて絶景を見渡せる雪山の美ヶ原いかがでしょうか?雪山登山の山選びに本レポートが一助になれば幸いです。

宿泊案内

北八ヶ岳・美ヶ原・霧ヶ峰エリアの雪山登山の際の宿泊地として筆者のおススメは佐久エリアです。佐久エリアからは浅間山の雲の様子が一目でわかること、また、佐久エリアからは浅間山・四阿山エリア、八ヶ岳エリア、美ヶ原や霧ヶ峰エリアなどにも簡単にアプローチでき便利です。天気予報次第で予定変更がしやすいメリットがあり冬山時期には筆者自身はしばしば佐久エリアに滞在しています。

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