日本の山雪山登山

【雪山山行記】四阿山、スノーシューでも楽しい、距離も景色も色々ちょうど良い雪山

四阿山(あずまやさん)

長野県と群馬県の県境に位置する山で標高は2354mです。浅間山の北西に位置します。どこから見ても山の形が屋根の棟(屋根が交差して山型に稜線になった部分)に似ているためにこの名前が付けられたと言われます。最寄りの町は長野県上田市や長野市で、菅平高原がさらに北側に隣接しています。四阿山登山口駐車場には冬期はトイレはなく、付近のコンビニは比較的遠い(上田市内、真田町、菅平高原)ためトイレや買い物を現地到着前に済ませておくことが必要です。序盤は広大な(夏期は牧草地)雪原の登りですが、コースは上部になるにつれてやや狭くなっていきます。最後の傾斜がやや急で幅が狭いため注意が必要ですが、全行程を通してスノーシューで歩くことができます。山頂からの最初の下りはアイゼンの方が無難かもしれません。山頂は360度開けた展望を楽しむことができ、南方には浅間山、西方には南アルプス、中央アルプス、北アルプス、北西方向には高妻山、妙高山、北方には横手山、北東方向には至仏山、草津白根山等を眺めることができます。

四阿山の場所

登山ルート

登山口・ベースの施設

四阿山登山口駐車場に向かう道路です。メジャーなアプローチの仕方は、上田から国道144号➤県道182号➤四阿山登山口方向へ分岐です。四阿山登山口駐車場に至るまでに「平塚らいてうの家」等があります。四阿山登山口駐車場は天気の良い日は早朝から満車になります(積雪期の天気の良い日は午前7時台前半満車になることが多いようです)。登山口駐車場が満車になると、そこまでの道路の路肩の空いたスペースに駐車する車が出てきます。ただしそのスペースも限られており、スペースがあっても登山口まで遠い等条件が悪くなる可能性が出てきます。やはり天気が良いと予報で分かっている場合は早朝の到着がおススメです。

山行記

とある年の2月中旬、四阿山(あずまやさん)雪山登山を楽しみにやってきました。少し寝坊してしまい到着が朝8時前になってしまいましたので、すでに登山口駐車場(写ってませんが写真右方向にあります)は満車でしたので、今歩いている道路の空いているスペースに駐車させてもらいました。サッと準備を済ませて歩き始めます。中央左奥に見えている車列の場所が四阿山登山口路肩駐車場です。そこを過ぎた場所が四阿山登山口になります。

四阿山登山口から積雪路です。アイゼン・スノーシューを今日は持っていますが、まずは何も装着せずに登山靴のみで歩きはじめます。

木々の中、平坦な雪道をのんびり歩いています。

登山口からの森林帯歩きでは迷う要素はほとんどありません。ところどころに四阿山の標識が立っています。

このように所々、親切に標識が立ててあります。

時々少し登り傾斜になりますが、概してウォーミングアップにちょうどよい感じです。

しばらく歩くと視界がパッと開ける場所に到着しました。ここで森林帯が終わり、長い雪原歩きの始まりです。

今日はスノーシューで四阿山トップまで登ることにします。今回使用するスノーシューはMSRライトニングアッセント22インチです。

筆者の大好きな雪原歩きが始まりました。スノーシューでザクザクと軽快に進んでいきます。

振り返ると左手に湯の丸山(2101m)、烏帽子山(2066m)が大きく見えています。

雪原の登り進行方向左には、針ノ木岳(2821m)、ズバリ岳(2752m)、立山雄山(3003m)、立山大汝山(3015m)、真砂岳(2861m)、爺ヶ岳(2669m)、剣岳(2999m)、鹿島槍ヶ岳(2889m)が見えていました。これら北アルプス北部の山々は後の写真で説明します。

雪原の登り始めは北向きですが、やがて北東方向に進行方向を変えていきます。

ずっと緩い登りがつづきます。のんびり歩き続けます。

バックカントリースキーで人気の山でもあり、滑走の跡が残っています。確かに長い下りはスキーで滑降したほうが要領が良いですよね。

まだまだ雪原登りが続きます。

基本新雪部分を踏んで楽しんでいますが、やがて疲れてきて先行者のトレースを利用させてもらいます。

時々、ミニ雪紋(シュカブラ)を見て楽しみます。

雪原が終わりに近づいてきました。

ここで左方向に向かい、木々の向こう側に渡ります。

まだまだ緩い登りが続くようです。のんびり歩きにちょうどよい感じです。このあたりで左方向の景色が開けますので眺めてみます。

左から、立山大汝山(3015m)、富士ノ折立(2999m)、真砂岳(2861m)、爺ヶ岳(2669m)、剣岳(2999m)、鹿島槍ヶ岳(2889m)、五龍岳(2814m)、唐松岳(2696m)、鑓ヶ岳(2903m)、杓子岳(2812m)、白馬岳(しろうまだけ、2867m)、小蓮華山(2766m)が見えています。

左から、白馬岳(しろうまだけ、2932m)、小蓮華山(2766m)、乗鞍岳(2469m)、西岳(2053m)、戸隠山(1904m)、高妻山(2353m)、地蔵山(2073m)が見えています。

雪原登りが終わると木々の中の気持ち良い登りが始まりました。

筆者のスタートが遅かったこともあり、しっかりトレースがあるため迷うことはまずありません。

掘れていてスノーシューの取り回しが窮屈な場所も時々あります。

基本ジグザグに進みながら登り続けています。

標識の立ててあるところに到着しました。標識の内容を確認してみます。

中尾根経由の登山道の標識でした。今日は素直に最短ルートでシンプルに四阿山に登りますので、まっすぐ進みます。

木々の密度が低くなってきました。もう少しで視界が開けそうな予感を感じながら歩き続けます。

視界が開けてきました。一旦周りを見渡してみます。

菅平高原パインピークスキー場が西方向の向かいに見えています。さらにその奥には北アルプスの眺めです。

さらに少し右に視線を移すと、鹿島槍ヶ岳、五龍岳、唐松岳、鑓ヶ岳、白馬岳の連なりです。

晴れて欲しいのですが、次第に上空に雲が広がってきました。

しばらく歩いていてるとちょっとしたガレ場のような箇所が始まりました。ここでトレースは追えなくなることもあり、進行方向を慎重に決めて歩いていきます。

雪の少ない箇所はむしろトレースが消えるため、間違った方向に進まないように適当なルートを自分で探して進むことになります。他に登山客がいないときや天候不順で視界が効かない場合は、このあたりは要注意かもしれません。

先ほどの雪が無くなっている箇所を登り続けていると、また雪に覆われたルートになりました。適宜ロープも張ってガイドされているようです。雲が増えてきたことが懸念事項です。

雲の流れは速く時々あたりが真っ白になったり、雲が切れて青空が見えたりと目まぐるしく変わります。ここまでのところ登り傾斜自体は終始緩やかです。

四阿山のトップが見えてきました。行く先が見えると足取りが少し軽くなります。

標識が立ってました。ここで右方向に進路を転換して登り続けます。なお、左方向は「中尾根・小四阿経由・菅野平方面」と記載されていました。この標識を過ぎたあたりからコース脇のスペースで昼食休憩等でのんびりしている人が多く見られるようになりました。

四阿山のトップ上空には雲がかかり始めています。筆者がトップに到着する頃にちょうど晴れてくれたら良いのですが…。

標高も上がってきたためか雪の質もさらにフワフワになってきました。

新雪踏みも楽しいのですが、時には先行者のトレースを利用して楽に登らせてもらいます。

基本的には登山口から終始緩やかながらも登りが続いています。

途中、標高2280mあたりで根子岳への分岐の標識があります。今日は寝坊したこともあり四阿山にシンプルに登ります。

四阿山のトップまでの道のりがすべて見えてきました。最終目標地点が見えない状態での登りより、やっぱり行く先が見えた方が気持ちは楽になりますね。

ここまで来たらトップはすぐそこです。

さすがに、最後の登りはほんの少し急になってきました。尾根になっていますので注意して登ります。ずっとスノーシューで登ってきましたがここまで特に問題ありませんでした。ただ、この最後の登り部分に関しては、帰りの下りの際にスノーシュならば少し注意が必要かもしれません。

ここを登り切れば四阿山トップです。足取りが少し速くなります。

登りながら、今まで眺めることがなかった嬬恋村方向です。雲がかかって眺めはいまいちです。

四阿山トップ(2354m)に到着しました。山家(やまが)神社 奥宮 西宮(信濃社)が建立されています。さらに奥に進んでみます。

奥に進むとここで雪面は切れ落ちて途切れていました。ここで今日は折り返しにします。

北東方向、横手山(2307m)、草津白根山(2160m)が間近に見えています。

ズームすると草津白根山の奥に白砂山(2140m)、その奥に仙の倉山(2026m)、谷川岳方面が見えているようです。そして右奥には至仏山(2228m)が見えています。

北北東方向、横手山(2307m)の左に岩菅山(いわすげやま、2341m)、鳥甲山(とりかぶとやま、2038m)です。

北方向の眺めです。写真中央に高社山・高井富士(1351m)が見えています。見えているスキー場は「よませスキー場」のようですね。

北西方向、焼山(やけやま、2400m)、火打山(ひうちやま、2462m)、妙高山(2454m)、神奈山(1908m)、大毛無山(1429m)が見えています。

筆者が四阿山トップに到着してから雲がなかなか晴れず、雲が晴れないか1時間程座って待っていましたが今日は雲が途切れそうにありませんでした。ですので、そろそろ帰ることにします。なお、座って待っている間にスノーシューを外し、アイゼン装着に変更しておきました。

トップからの最初の下りです。水平方向で斜めになった急勾配はスノーシューよりアイゼンの方が楽に降りることができます。

唐松岳(2696m)がその稜線とともに存在感がありますね。朝の登りの際には見えていた鑓ヶ岳や白馬岳が雲で見えなくなってきました。

下りは速いもので、すぐに行きの登りの時に見た標識の場所まで戻ってきました。

ここで右方面に行くと異なる尾根を通過して菅平方面になりますので、この標識は注意して通過しましょう。

鹿島槍ヶ岳(2889m)、五龍岳(2814m)、唐松岳(2696m)の並びも雲もかかってきました。

雪が無くなり一旦トレースが無くなる箇所まで下ってきました。少し注意しながら下り続けます。

木々の中に入っていきます。標高も下がってきました。

それにしても、行きの登りよりも帰りの下りは速い速い。

心地良い木々の中を軽快に降りていきます。

これだけ下りが長いとスキーで滑って降りるのが要領良いですよね。

下りはアイゼンでトップからここまで来ました。時々ズボッと踏み抜いてヒヤッとすること数回。

牧草雪原地まであっという間に戻ってきました。ここからさらに緩やかな下りになります。

ここまで来たらもう大体登山口への帰着時間も予想できますので、のんびり雰囲気を楽しみながら歩くことにしました。

ただ散歩のように歩いているだけのような感じです。曇っているとはいえ風もなく寒くもなく心地よい体感温度です。

やがて左方向に方向転換して雪原を下り始めると、登り始めの際の森林帯が見えてきました。

森林帯に入る前に振り返ってパチリ。

ここの有刺鉄線を乗り越えて森林帯に入ります。

森林の中の静かなコースです。

親切にリボンもつけられていて歩きやすくなっています。

頭上の太陽が傾いてきて木漏れ日になってきました。

登山口までもうすぐですので、適当に回りの写真を撮りながらのんびり歩きます。

あと数十メートルで登山口に到着です。アイゼンを外してザックに収納します。

登山口からの下りは舗装路です。車の往来に注意しながら駐車場所まで歩きます。

朝の登山口駐車場に駐車できない場合はこの道沿いに点在する限られたスペースに駐車することになります。登山口から近い場所から先着順で埋まっていきますので、遅く到着した場合は結構登山口から離れた距離になります。

最後に

いかがでしたか?四阿山(あずまやさん)の雪山トレッキングの様子をレポートしました。雪山登山で人気の山ですので、積雪期は晴れの予報が出た日は早朝から駐車場が満車になることがあります。ですので、現地には早めの到着がおススメです。また冬期はトイレがありませんので、現地到着前に買い物やトイレを済ませておくこともポイントです。序盤の広大な雪原歩き、最後のやや急な尾根(距離は短い)があり、バラエティに富んだ雪面歩きを楽しめます。またスノーシューに慣れてきた後、この長距離歩きを楽しむというのも良いかもしれません。終始のんびりとした雪斜面歩きで、360度開けたトップからは主に北アルプス北部(雲がなく天気が良ければ南北中央アルプス全体)、妙高方面、横手山方面、北東方向に谷川岳方面などの眺めを楽しめる非常にロケーションの良い雪山です。四阿山(あずまやさん)いかがでしょうか?雪山登山の山選びに本レポートが一助になれば幸いです。

宿泊案内

四阿山登山の手軽な前泊地としては上田駅周辺がおススメです。JR東日本の北陸新幹線、しなの鉄道のしなの鉄道線、上田電鉄別所線が乗り入れしており、駅周辺にはショッピングセンターなどの商業施設も豊富です。上田城もあり付近の散歩も楽しめます。

上田駅周辺の宿泊施設の紹介(レビュー・施設情報)を以下で調べることができます。

楽天トラベル (上田駅周辺) Yahooトラベル (上田駅周辺)
Booking.com (上田駅周辺) じゃらんnet (上田・別所・鹿教湯エリア)

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