日本の山雪山登山

【雪山山行記】鳥海山、登ればわかる規模の大きさと懐の深さ!広大な雪斜面を満喫!(祓川・矢島口編)

鳥海山 (ちょうかいさん、ちょうかいざん)

山形県と秋田県にまたがる独立峰の活火山で、東北地方では燧ケ岳(2356m)に次ぐ高標高(新山:2236m)の山です。山形県側でちょうかいざん、秋田県側でちょうかいさんと呼ばれることが多いようです。日本には「~富士」と呼ばれる山が数々ありますが、鳥海山は別称として「出羽富士」「秋田富士」、また山形県では「庄内富士」と呼ばれます。鳥海山はその特徴として裾野が日本海までに及んでいることが挙げられます。また過去の度重なる噴火により畏怖の的となり山岳宗教の発達等も過去に見られたという歴史があります。現在は国定公園指定(鳥海国定公園)となり、さらに山岳道路が整備され、山スキー、夏登山で多くの人々が訪れます。1800年から1801年にかけての溶岩流出により溶岩ドームの「新山」が形成され、現在「新山」が最高峰(2236m)となっています。外輪山である七高山(しちこうさん、2229m)、行者岳(ぎょうじゃだけ、2159m)、伏拝岳(ふしおがみだけ、2130m)、文殊岳(もんじゅだけ、2005m)が東鳥海火山(新山が中央火口丘)と言われ、また別に火口湖だった鳥海湖、鍋森(なべもり、1652m)、扇子森(せんすもり、1759m)を中央火口丘とし、月山森(がっさんもり、1650m)、笙ガ岳(しょうがだけ、1635m)を外輪山として西鳥海火山が存在します。新山・七高山をはじめとする東鳥海火山への雪山登山としてのアプローチで一般的なものは西側からの「鉾立(ほこたて)」からのアプローチ、北側からの「中島台」からのアプローチ、北東側からの「祓川(はらいがわ)」からのアプローチになります。ポイントは各駐車場へアプローチできる国道の冬期通行止めがいつ解除されるかです。どれも駐車場までの道が冬期通行止めになり、積雪状況によって年により変化しますが大体3月末~4月末にかけて通行止めが解除されます。現地へのアクセスを考える際には「秋田県道路情報」などで通行止め情報を確認することが必要です。(ちなみに2024年春は中島台までは3月29日通行止めの解除、鉾立や祓川までのアクセスは4月26日に通行止めが解除されました。) なお、今回挙げた3つの登山口には駐車場とトイレがあります。

鳥海山の場所

紫のピン鉾立

黄色のピン中島台

青のピン:祓川

登山ルート

登山口・ベースの施設

今回は、ゴールデンウィークの前半に当たる4月末の週末に「祓川駐車場」に訪れました。到着したのは午前4時30頃で、到着時は筆者の後に駐車スペースが残り1の状態でした。多くの車のフロントガラスに断熱シート等が立てられているのを見ると、深夜の間に到着して車中泊をしている人が多いようです。なお、この駐車場から鳥海山を望むことが可能です。筆者が訪れた際はちょうど月が鳥海山の上にありました。祓川駐車場には男女別のトイレがあります。

祓川駐車場からの眺めです。徐々に夜が明けていきます。

山行記

ある年の4月末の週末、祓川駐車場にやってきました。北関東在住の筆者としては自宅から現地到着までが約6時間~7時間の車の運転です。前日は早朝から仕事で、夜に仕事を終えた後そのまま徹夜の運転で到着しました。登り始めの時点で24時間寝ていない状況のスタートとなってしまい体調が万全とは言い難い状況であることを少し後悔します。やはり体調を整えて登りたいものですね。

祓川駐車場の南側に「鳥海山 矢島口登山口」がありますので、そこから緩やかな坂を上って進んでいきます。駐車場から上がってすぐが上の写真のような景色になります。もう少し進んでヒュッテを過ぎたあたりからアイゼンを装着することにします。

振り返って祓川駐車場の方向を見てみました。駐車場の南側の登山口から緩やかに登りますので駐車場が少し下にあります。

祓川駐車場に到着時は朝焼けの状態でしたが、準備等している間に太陽の光がだんだん強くなってきました。朝の間は前日の溶けかけの雪が再び凍結して固くなっている箇所もあります。

駐車場を出発して間もなく、祓川ヒュッテに到着です。この日はヒュッテに滞在していた人も多かったようです。ヒュッテの前に木製のベンチもありますし、そこを過ぎてから雪原に出る手前にも雪の段差がありますので、適当なスペースでアイゼンを装着することにします。

最初は竜ヶ原湿原の雪上歩きになります。ほとんど傾斜がなく、ウォーミングアップにちょうど良い感じです。今日は天気が良さそうです。目指す頂上が見えているので気が楽ですね。

さあ、最初の登りが見えてきました。

残雪期は木々も多く顔を出しています。太陽も到着時比べると大分上がってきました。

さあ、まず一番最初の登りです。朝一番で足の疲労もありませんので、着々と進んでいくこととします。

4月末のこの時期は雪は柔らく、一歩一歩が重くなることもあります。適当なステップを利用しながら登り始めます。

この時期は竹の棒がほぼ等間隔に雪斜面に立ててありますので、迷うことはありません。ひたすら登り続けるのみです。

最初の斜面を登り切りました。なんだか駐車場から眺めた時よりも頂上が遠ざかったような・・・気がします。

ここで一旦、振り返って見てみます。祓川ヒュッテとその先に祓川駐車場が見えています。

少しズームして見てみます。中央左手は祓川ヒュッテと祓川駐車場で、筆者が歩いてきた場所です。それに対して中央右手奥には祓川キャンプ場駐車場(祓川駐車場よりも大きく、駐車可能台数も多い)が見えています。そちらからも登ってくる人々が見えています。

最初の斜面を登ったあとはしばらく緩やかな登り斜面です。歩きながら、最初より遠く見えるようになった頂上をzoomで撮影して気を楽にします。

さて、現実に戻って歩き続けます。行く先に最初の斜面よりは距離の長い登り斜面が見えてきました。

すでに形成されているステップを利用して黙々と登り続けます。だんだん日の光が強くなってきました。気温も上がってきましたので一枚脱いで、長袖1枚になります。

遠くから眺めた時は斜度が結構あるように見えましたが、登っている最中に撮影してみるとそれほどでもなく、ほどほどの傾斜の登りやすい斜面です。

踏み抜きはなく、雪は緩いながらも朝の早いうちはまだ歩きやすい状態です。

ここから少し登ったところから左手にトラバースしていくような感じなります。まだまだ全体の中でも序盤です。黙々と登り続けます。

今まで登ってきた方向から左方向に向いてトラバースが始まります。竹棒が立っているので迷うことはありません。

実際にはトラバースしながら登りつづけているような感じですね。あそこまで一旦休憩しよう、やっぱりもう少し行ったら休憩しよう、の繰り返しでノンストップで歩き続けています。次、平らな場所があったら一旦休憩しようと思いながら歩きます。

トラバースを終えてまた直登方向に向きそうです。

再び直登方向になりました。歩けば歩くほど頂上が遠ざかっていくような気がするのは筆者だけでしょうか・・・

頂上をズームして楽しみますが、圧縮効果で次にまた長い登りが迫っていることをヒシヒシと感じるだけになってしまいました。

迫りくる次の登りを人々が歩いているのが見えるようになってきました。あの登りの前に一旦休憩ですね。

登りの前に休憩して水分補給を済ませたら、登り再開です。気温も上がってきて一歩一歩が沈み込む場所が増えてきました。

上を見るとキリがないので時には足元だけを見て登り続けます。

スキーを担いだ人、そうじゃない人、とにかく他の人も黙々と登り続けています。

この行く先が見えてないところまで進むと何か景色が開けるのかな、と期待して歩いています。

登り続けていると上部の景色が少しずつ見えてきました。

登り続けているのですが、なかなかトップが近づいてきているようには見えません。

しばらくすると、今後の行く先の状況が分かるようになってきました。

ズームしてトップ方向を見てみます。この時点で鳥海山が規模の大きい山であることを実感するに至りりました。今の傾斜を登りながら、直登ではないのですが、トップまで長い登りが続くことがはっきりしてきました。

ズームをやめて現実に戻ります。また黙々と緩やかな傾斜を登り続けます。

さきほどまで歩く度に遠ざかっていた頂上ですが、さすがに近づいてきました。

上ばかり見ていてもキリがないので、時々日本海を見て和みます。

近づいてきていた頂上の景色ですが、傾斜の角度によっては上の景色が見えなくなります。

頂上が見えてくるといままでの脚の疲れが消えますね。

一気に登れずとも、ときどき日本海を見ながら休む楽しさがココにはあります。

ここまで来たらもう焦ることもありません。脚の疲れも楽しむことにします。

頂上へのアプローチはもう一方ありますので、そちらを登っている人々が結構いるようです。向こう側のルートはスキーを担いでいる人が多くいます。

次のページに続く

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