個人でブツ撮りを楽しむ際にクランプ選びで必ずといっていいほど候補に挙がるのがマンフロットのスーパークランプ(035と035C)とトキスターのスーパークランプです。同じような両者にも実際使用すると違いがあることが分かります。今回はこの両者の違いについてレポートします。
マンフロット スーパークランプ 035
撮影用クランプの大定番、マンフロットのスーパークランプ035です。剛性・把持力すべてにおいて、このスーパークランプが基準となるような、安定した品質のクランプです。
マンフロット スーパークランプ 035C
大定番のマンフロット スーパークランプ035のレバー部分がラチェット式になったのがスーパークランプ035Cです。上の写真では左が035C、右が035です。両者の見た目の違いはレバーの長さぐらいです。なお、上の金色の金具がマンフロットのスピゴットアダプター013で、クランプを使用する上で必要となることが多い道具です。
トキスター スーパークランプ TS-101-ST
マンフロットのスーパークランプ035や035Cよりも安価で入手することが出来て、ネット等でも評判の良いトキスターのスーパークランプTS-101-STです。スピゴットは同社製の銀色のものが付属します。なお、このスーパークランプはマンフロットの035Cと同様、レバーがラチェット式になっています。頑丈さ・把持力について申し分ないことに加え、マンフロット035や035Cの約6~7割程度の価格で販売されており入手しやすいのが特徴です。
035、035C、TS-101-STを並べてみる①
写真左上が035C、真ん中下がTS-101-ST、右上が035になります。パッと見た目のサイズはマンフロットのスーパークランプもトキスターのスーパークランプも大きな違いはありません。特にマンフロットの035と035Cに関してはレバーの形状の違いはあるものの、見た目の大きさ・重さ・寸法は同じになります。
035、035C、TS-101-STを並べてみる②
写真左が035C、真ん中が035、右がTS-101-STになります。マンフロットの2つはサイズは同じですが、右のトキスターのTS-101-STがマンフロットの2者に比べ少し大きいことが分かります。計測してみると実際横4mm、縦2.5mmほど大きいようです。実際手にしてみるとやはりトキスターのTS-101-STのほうがほんの少し重いことも実感することができます。
マンフロット 035、035C vs トキスター TS-101-ST ③
マンフロット035、035Cのゴム部分は上の写真のようになっています。比較的なめらかな質感のゴムになっていますが、しっかり固定するのに問題はありません。
トキスター TS-101-STのゴム部分のギザギザパターンは結構鋭いものになっていて、かつゴムも硬くなっています。マンフロットに比べると固定の際に滑りは起きにくくなっています。柔らかい材質の木材などに固定した場合、木材にその跡が残ることがありますので注意が必要です。
マンフロット 035、035C vs トキスター TS-101-ST ④
マンフロットの035、035Cはレバーをつかまなくても指の側面をレバーにあててくるくる回すだけでスムースにレバーが回転します。ネジの精度と作りが良いことがわかります。
トキスターのTS-101-STはマンフロットの035、035と比べるとレバーの回転が指の側面だけではスムースに回りません。ここが値段の差なのか、ネジの精度と作りこみが若干劣ると言わざるを得ないかもしれません。油を差せば改善するのかもしれませんが、ユーザーとしては買ってメンテフリーで使いたいものです。
左がマンフロット、右がトキスターです。ネジと六角ボルトを受ける部分がマンフロットの方が作りこみが良い印象です。クランプをつけたり外したりは指一本で軽くレバーが回転するかしないかでストレスが違いますので、この点は人によれば大きな違いかもしれません。
マンフロット 035、035C vs トキスター TS-101-ST ⑤
本レポートの要点ともいえる箇所にやってきました。上の写真、左がマンフロットのスーパークランプ、右がトキスターのスーパークランプです。前述の通りトキスターのほうがマンフロットより一回り大きいことだけでなく、違いが何か所か判明します。
おわかりでしょうか?
そうです。スピゴット受けの穴に突き出たネジの長さが違います。
マンフロットの方がトキスターに比べネジが穴に突き出ている長さが長いことがわかります。ちなみに両者ともネジは目一杯締めています。
これはどういうことか? 次に個々を見ていきましょう。
マンフロットスーパークランプ035, 035C
マンフロットのスーパークランプの拡大です。ウェッジを装着したままネジを目一杯締めて上の写真のような状態になります。スピゴット受けの穴にネジ先がしっかり出ていることがわかります。
穴に突き出たネジ先がスピゴットをしっかり固定するための接点になります。
スピゴットを入れてしっかりネジを締めた状態です。外からは見えませんがネジを締めることでネジ先がスピゴットと接しており、スピゴットをしっかり固定できています。つまりマンフロットのスーパークランプ(035、035C)はウェッジを装着したままスピゴットを固定できます。
トキスター スーパークランプ TS-101-ST
トキスターのスーパークランプTS-101-STの拡大です。ウェッジを装着したままネジを目一杯締めて上の写真のような状態になります。マンフロットほどスピゴット受けの穴にネジ先が出てきていません。
先述のように、穴に突き出たネジ先がスピゴットをしっかり固定するための接点になりますので、とある問題が生じます。
ウェッジあり
スピゴットを入れてしっかりネジを締めた状態です。トキスターのスーパークランプTS-101-STはスピゴットがガタガタと動く状態でしっかりと固定ができません。先述の穴に突き出たネジ先が短いこと原因でスピゴットにネジ先が届いていない状況です。つまりウェッジを装着したままならスピゴットをしっかり固定することが困難です。
ウエッジなし
ウェッジを外してみました。ネジが止まるまで(ネジ先がスピゴットにしっかり接するまで)締めると、今度はスピゴットがしっかりと固定されました。
ここで、マンフロットとトキスターでネジの長さが違ったのか?ということが疑問になります。
では両者を比べてみることにします。
両者のネジの長さが違うのか?
マンフロットスーパークランプ035、035のネジです。18㎜ですね。
トキスタースーパークランプTS-101-STのネジです。18㎜ですね。
ということは両者のネジの長さは同じということになります。
となれば、両者本体になにか違いがあるのかが疑問になります。
では見てみましょう。
両者のどこの違いが原因か?本体側に違い?
ネジを目一杯締めた両者の上の写真をよく見てください。両者のネジの長さが同じなのにスピゴット受けの穴に突き出るネジ先の長さが違うということは・・・
もうわかりましたね。
左がマンフロットで、右がトキスターです。上の図のようにトキスターのスーパークランプがマンフロットの035や035Cに比べて少し本体・ウェッジの幅が長いことが分かります(黄色点線)。さらにトキスターの方がネジの取っ手の下端がウェッジの上端にすぐに当ってしまうことが分かります(オレンジ点線)。これらを総合して穴に突き出たネジの長さの違いが生じていることが分かります。
両者のどこの違いが原因か?ウェッジに違い?
左がマンフロットのウェッジ、右がトキスターのウエッジです。トキスターのウェッジの方が、マンフロットに比べて高さがあることが分かります。実際ネジを締めた際にウエッジの上端に当たることでネジがこれ以上締まらなくなります。
左がマンフロット、右がトキスターです。マンフロットのスーパークランプの方はウェッジを装着したままで、トキスターはウェッジなしです。写真を見てお分かりの通り、トキスターはウェッジを外してネジを締めることでマンフロットのウェッジ付きと同じくらいのネジの先端の突出具合になります。
スピゴットはお好みで
左がトキスターのスーパークランプTS-101-STに付属するスピゴット、右がマンフロットのスピゴット013です。両者とも特に使い勝手は変わりません。トキスターのスピゴットは一部が平面加工になっています。マンフロットのスーパークランプの場合はスピゴットを別途購入必要ですが、トキスターのスーパークランプTS-101-STはスピゴット付属で市販価格がマンフロットの約6割~7割ですのでかなりコストパフォーマンスが良いことになります。
035、035C、TS-101-STの違い まとめ
マンフロットのスーパークランプ035、035C、トキスターのスーパークランプTS-101-STの違いについて今までの示したものをまとめると以下のようになります。
マンフロット035 | マンフロット035C | トキスターTS-101-ST | |
大きさ | 普通 | 普通 | やや大きい |
頑丈さ・把持力 | 通常使用で問題なし | 通常使用で問題なし | 通常使用で問題なし |
クランプレバー | 回しやすい | 回しやすい | スムースさに欠ける |
ラチェット式 | なし | あり | あり |
スピゴットの固定 | ウェッジありでもOK | ウエッジありでもOK | ウェッジありなら困難 |
価格 | 高い(スピゴットなし) | 高い(スピゴットなし) | 安い(スピゴット付き) |
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上の表に文章を補足すると以下のようになります。
- 大きさ・重さ 035、035C < TS-101-ST
ほとんど同じとも言えるが、手にすると明らかに違いが分かるレベル
- 頑丈さ・把持力 035、035C、TS-101-STすべて通常使用では問題なし
TS-101-STのゴム部分は硬くギザギザパターンが結構鋭い。マンフロットの2つは比較的なめらかなゴム。
- クランプレバーの回しやすさ 035、035C > TS-101-ST
035、035Cはレバーをつかまなくても指側面を当てるだけでスムーズに回転
- クランプレバーのラチェット式の有無 035:無し、035C、TS-101-ST:有り
ラチェット式はあると便利な機能。
- 値段 035C > 035 > TS-101-ST
035Cと035の市場価格の差は500円程度、TS-101-STは035の約6~7割程度
- スピゴットの固定 035C、035 > TS-101-ST
035、035はスーパークランプウェッジ035WDGを装着したままスピゴットをしっかりと固定可能。TS-101-STはウェッジを外せばスピゴットをしっかりと固定可能。
3つを比べてみて総評
マンフロットの2つはさすがマンフロットという出来です。それと比較するとトキスターのTS-101-STは035Cと同じラチェット式レバーを備えていながら値段がマンフロットの約6~7割という点が魅力です。ウェッジをネジ部分に装着しながらスピゴットを固定することができるかどうかが、マンフロットを購入するか、トキスターを購入するかの分かれ目になるかもしれません。
一つ言えることは、「ウェッジは紛失しやすい」ということです。ウェッジはネジにただ上からはめているだけですので、気づかないうちに無くしていたということが多々あります。ウェッジを使うようなシチュエーションがない場合は最初から外しておいてもいいかもしれません。
ウェッジを使う可能性があって常にクランプに装備しておきたいならマンフロットのスーパークランプで、ウェッジを使うことがなくウェッジを外して普段クランプを使うならばトキスターのスーパークランプが価格的には非常に魅力的と思います。特にトキスターのスーパークランプのゴム部分のギザギザパターンが結構鋭いので屋外の物に固定する時などは強力な把持力でその威力を発揮すると思います。
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最後に
いかがでしたか?個人でブツ撮りを楽しむ際にクランプ選びで必ずといっていいほど候補に挙がるのがマンフロットのスーパークランプ(035と035C)とトキスターのスーパークランプ。同じような両者にも実際使用すると違いがあることが分かります。今回はこの両者の違いについてレポートしました。本レポートが皆さんのクランプ選びの一助になれば幸いです。
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