ノルウェーの一番北の端の部分、フィンマルク県(フィンマルクエリア)をカバーしているWideroe航空(ヴィデロ―航空)。ロシアとの国境がある「キルケネス」や、ヨーロッパ最北端の岬「ノールカップ」、ノルウェー北部の中心都市の「トロムソ」にアクセスする際に利用することになるエアラインです。さらにノルウェーで最も北部のこのフィンマルクエリアは天気さえよければ高確率でオーロラを観察できる場所です。そのため環境条件と飛行時間帯・飛行方向・使用機体の特性を考えて座席を選択すれば機内からオーロラを眺めることができます。
本レポートではヴィデロ―航空の機内から捉えたオーロラの写真と、今回の撮影環境について取り上げます。
オーロラの撮影方法については以下に詳しくまとめていますので是非ご覧ください。
オーロラ撮影時の服装・持ち物については以下にまとめていますので是非ご覧ください。
Widerøe(ヴィデロ―)航空について
Widerøe航空は過去SASの傘下にありましたが、ここ数年でSASから売却となり、SASとはパートナーシップを維持しながら独自のサービスを展開しています。
フィンマルクエリアに行くには多くの場合、オスロ→トロムソでトロムソまで行き、トロムソから各地へヴィデロ―航空で向かうという方法がメジャーです。
例外としてオスロ→キルケネス等は、SASがオスロ空港からダイレクトを飛ばしているケースもあります。
使用機材
ヴィデロ―航空のフィンマルクエリアでの使用機材は基本はBombardier Dash 8-100です。2列×2列の10行、定員39人の座席配置です。
フィンマルクエリアでのフライトルート一例
ヴィデロ―航空のフィンマルクエリアでのフライトルート一例を上に示してみました。
今回は筆者が利用したルートは
・WF975:キルケネス → アルタ (緑のライン:東から西へ)
・WF968:アルタ → Vadsø(バツェ) → Båtsfjord(バツフィヨルド) → Mehamn(メハムン) → Honningsvåg(ホニングスボーグ) (オレンジのライン)
です。
WF968はたくさん停まっているようにみえますが、その都度飛行機を降りる必要はありません。ホッピングフライトで、路線バスのように飛行機が着陸・離陸を繰り返します。
冬の時期にキルケネスからホニングスボーグに飛行機で行くとなるとこの方法が一番早い選択肢になります。季節によればもっとシンプルな方法があるかもしれません。
小型のボンバルディア機で計5回の離着陸を繰り返すとさすがに最後にはヘトヘトになります。
ヴィデロ―航空 機内でオーロラをみるには
最後尾付近から撮影したVadsø(バツェ)で駐機中の機内です。この後、Vadsø(バツェ)から乗車する乗客が機内に入ってきます。
フィンマルクエリアはオーロラベルトの真下に位置しますのでまさに頭上でも北方向でも南方向でもオーロラが見える可能性があります。やはり確率的に高いのは北方向です。下のアプリの画像を参考に示してみます。
ブルーの現在地ポイントがまさにフィンマルクエリアです。グリーンの部分がオーロラが見える可能性がある場所で、オレンジの部分がさらに高い確率でオーロラが見える場所を意味します。↑に示した状況はオーロラ観測にかなり良い条件の時の表示です(KP4~5相当)。これより小さい範囲のオーロラ予測の場合はオーロラは高緯度のごくわずかなエリアのみカバーするような状況になります。
オーロラが見える可能性があるエリア(グリーン・オレンジ)は時間が経つにつれて東から西へ移動してゆきます。
以上を踏まえて飛行方向と座席について考えていくことになります。
飛行方向と座席について
もう一度フライトルートを示します。
WF968でアルタからVadsø(バツェ)に向かう西→東向きの飛行では、機体左側列の窓側が北向きを見ることができます。
WF968でVadsø(バツェ)以降は逆に、機体右側列の窓側が北・北東を見ることができます。
座るのは前方か後方か
両翼が機体上部にかかっているBombardier Dash 8-100の機体の特性を考えると、おススメは後方座席になります。前方~中央部は翼・エンジン部が視界を邪魔してしまいます。オーロラ撮影にはシャッタースピードが数秒必要なことを考えると、飛行中に真横のオーロラを撮ることはオーロラが流れてしまって至難の業です。それに比べると後方に存在するオーロラを撮影するのが比較的簡単です。
手持ちで鬼固定
機内で三脚の使用は不可です。ましてや短距離の場合はベルト着用サインさえOFFになりません。試しに今回「手振れ補正なし」でどこまでできるか撮影してみました。固定はオーロラ撮影でもっとも重要で根性の見せどころです。窓に指を当てるなり工夫して撮影してみましょう。
CAさんも協力的?!
冬はオフシーズンのため、夕方以降のフィンマルクエリアのルートは乗客も地元の人が多く、アジア人ましてや日本人はまずいません。親切にもCAさんは離着陸の度に毎回英語のセーフティインストラクションをしてくれました。もし我々が乗っていなかったら地元の人ばかりになるのでノルウェー語のみの機内放送だったと思います。降機の際にも「良い写真とれた?」とたずねてくれるぐらいフレンドリーでした。
ヴィデロ―航空 オーロラ撮影レポ―ト 2018
(f2.8、無限遠フォーカス、SS6秒、ISO800、窓に多少機内が反射して写っているのがわかります)
今回のカメラ・レンズ・三脚
カメラ:OLYMPUS OM-D E-M10 Mark II
レンズ:LAOWA Laowa 7.5mm f/2 MFT
三脚:なし
現像:Adobe Photoshop Lightroom Classic CC
今回も「軽量・コンパクト・お値打ち価格」での「OM-D E-M10 Mark II」と「Laowa 7.5mm f/2 MFT」の組み合わせでのオーロラ撮影です。今年は決してハイクラスではないこの組み合わせでどこまでいけるか攻める方針です。
すべての写真において「手振れ補正OFF」(今回手持ちですが試しにどこまでできるかOFFとしました)、「セルフタイマー2秒」、「無限遠フォーカス」、「ノイズリダクションなし」としました。
撮影後のRAWファイルの現像でおススメはLightroomとPhotoshopが使用できるお得な以下のプランです。
Lightroomのみのプランは以下になります。
写真紹介
お待たせしました。ここからは実際の写真を紹介していきます。
(f2.8、無限遠フォーカス、SS6秒、ISO800)
Vadsø(バツェ) → Båtsfjord(バツフィヨルド)の際見えたオーロラです。飛行中で機体も結構揺れるためシャッタ―スピードはいつもより短めの6秒でとしました。
(f2.8、無限遠フォーカス、SS6秒、ISO800)
Båtsfjord(バツフィヨルド) → Mehamn(メハムン)の際に見えたオーロラです。最後尾の座席から機体後方に見えたオーロラを撮影しました。頭上も大きなそら一面オーロラでしたが窓から撮影は困難でした。
(f2.8、無限遠フォーカス、SS6秒、ISO800)
撮影を続けている間にも飛行機は進みます、さらにオーロラも形が変化していきます。こちらは固定する手が動かないように必死です。
(f2.8、無限遠フォーカス、SS6秒、ISO800)
オーロラは形を変えてゆきます。
(f2.8、無限遠フォーカス、SS6秒、ISO800)
この後機体が雲の中に突入してオーロラが見えなくなりました。
オーロラタイムラプス動画
今回のヴィデロ―航空 機内からのオーロラをタイムラプス動画にしていますので、よろしければ以下をお楽しみください。
最後に
いかがでしたか?
以上、ノルウェーの北の端をカバーするヴィデロ―航空 機内からのオーロラ撮影をレポートしました。その厳しい気候のため冬は欠航となることもよくある地域ですが、上空の雲を抜けた後には下界の天気にかかわらず大きなオーロラをまさに近くでみることができます。フィンマルク地域は天気さえよければかなりの高確率でオーロラを見ることができる場所です。キルケネス・アルタ・ホニングスボーグ等へオーロラ観光に行かれる際は機内からのチャンスも楽しみにしてみてくださいね。
オーロラの撮影方法については以下に詳しくまとめていますので是非ご覧ください。
オーロラ撮影時の服装・持ち物については以下にまとめていますので是非ご覧ください。
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