西吾妻山(にしあずまやま)
西吾妻山は山形県米沢市と福島県の境界に位置する山で、吾妻連峰の中の一つであり山頂の標高は2035mで連峰最高になっています。冬期は樹氷が見られることが有名で、蔵王の樹氷に比べ小柄なものが多くみられ、蔵王の樹氷が「スノーモンスター」と言われるなら、西吾妻山のそれは「リトルモンスター」と言われています。福島県の裏磐梯グランデコスノーリゾートからゴンドラに乗り、ゴンドラ終点から西大巓(にしだいてん)へのハイクアップ、さらにいったん下ってさらに登り返して西吾妻山山頂へのアプローチや、山形県米沢からの天元台スキー場、リフト終点から梵天岩、西吾妻山、西大巓(にしだいてん)へのハイクアップというアプローチがあります。梵天岩~西吾妻山の区間の樹氷が最も多く見られる印象です。雪原が多くを占めコースは広く傾斜は緩いことと、稜線はありませんので他の登山者とのすれ違いに気を使うことなく全行程を通してスノーシューで歩くことができます。グランデコスノーリゾートの駐車場や天元台ロープウエイ湯元駅駐車場どちらもロープウェイ駅建物内のトイレが利用可能です。
西吾妻山の場所
登山ルート
登山口・ベースの施設
西吾妻山の山形県側からのアプローチは、この天元台高原ロープウェイ湯元駅からスタートです。
ロープウェイ駅には内部にトイレ、外から更衣室への階段が見えました。
湯元駅からロープウェイで上がった先にあるのが天元台スキー場です。湯元駅から少し下ったところには最寄りの温泉地の白布温泉があります。帰りに寄って立ち寄り湯を利用するのも良し、宿泊も良しです。
湯元駅にある吾妻連峰の案内図です。全体図がとても分かりやすくなっています。
山行記
とある年の3月中旬に湯元ロープウェイ駅からロープウェイを利用して天元台スキー場にやってきました。天元台高原駅を降りてすぐのところに休憩所がありました。ちょっと寄ってみることにします。
椅子やテーブルがスペースに余裕を持って並べてありました。せっかく椅子があるので座って、ここで靴の紐の締め直しをしておきます。
休憩所を出てリフト乗り場に向かいます。天元第高原しらかばリフトという名前です。
天元台高原スキー場のスタッフはどのリフトに乗る時も降りるときもリフトの速度を下げるなど親切に対応してくれます。高速リフトではないのでゆっくりのんびり景色を楽しみながら上がっていきます。
スキー場を隣に見ながらどんどん上がっていきます。
3月中旬でまだまだ楽しめる雪の状態ですね。
合計3つのリフトを乗り継いで、ほとんど歩くことなくここまで来ました。幸福の鐘なる物が建立されています。
3つ目のリフトを降りて右前方向に西吾妻山登山口があります。そこには写真にあるような看板が立てられていました。今日はここからスノーシューを履いてスタートです。
緩やかな登りの斜面を木々を縫うように登っていきます。
木々の間をつづら折りのような感じでジグザグに登っていきます。トレースを見失わないようにしておいた方が無難です。
木々が顔を出している高さが低くなってきました。
頭上が開けてきました。そろそろパッと視界が開けそうです。
予想通り視界がパッと開けました。ここで大切なことに気付いてしまいました。
「今日は晴れてない」
そうです。青空が全くありません。見上げても白~灰色の空です。そして
「樹氷が溶けて、もう枝が出まくっている」
そうです。3月中旬ではもう遅い状況でした。リトルモンスターどころではありません。
とりあえずリトルモンスターに近い樹氷を探して、あればラッキーという方針に切り替えです。
このあたりは平坦な雪面が続きます。
今から見える山のトップを目指して歩いていきます。
トレースは至るところにあります。どれを選んでも山頂方向につながっていそうです。
ツアーコースなる標識が立っていました。
とてもなだらかな斜面です。まずは梵天岩(2004m)に向かって歩きます。
どこを歩いても登れそうな感じですが、まずは既にあるトレースを追うことにしました。
溶けてしまって中身が見え始めたリトルモンスター達です。
どこかまだリトルモンスターは残っているかもしれないと思いながら歩き続けます。
なんか違うなぁと思いながら登っています。
登りはまだまだ続きます。しかし緩やかな傾斜なので特に疲れるようなものではありません。
標高が上がってくると、それらしくなってきました。
一旦このあたりで登りが終わります。登りの終わりとともに木々もなくなりました。
歩いてきた道を振り返ります。中央に見えているのは中大巓(なかだいてん、1963.8m)です。
平坦になりますのでこのあたりは歩きやすいです。
南方に見えるのが西吾妻山(にしあずまやま、2035m)です。この場所からはさらに登った場所になります。その前に西の方向に少し歩くとある梵天岩に行ってみることにします。
梵天岩の場所です。リトルリトルモンスター的な雪の塊がたくさんあります。標識の方に行ってみます。
岩に雪が被っただけの場所は滑りやすいので注意です。もうちょっと先に行ってみます。
左から烏帽子山(1879m)、家形山(1877m)、一切経山(1949m)、そして右に東吾妻山(1975m)です。
写真中央が東大巓(なかだいてん、1928m)です。その右に烏帽子山(1879m)、家形山(1877m)、一切経山(いっさいきょうざん、1949m)と続きます。
南の方向には西吾妻山(2035m)を眺めます。天気がいまいち良くないながらも梵天岩からの眺めを満喫しましたので、西吾妻山頂上に向けて歩行再開です。
しばらくは平坦な道のりです。
西吾妻山のトップに向かって緩やかな登りが始まりました。
リトルモンスターはいないかなぁと思ってキョロキョロ見回しながら歩きますが、なんだかなぁという感じです。
中身が見えているものや下の枝が出て両足で立っているような溶けかけの樹氷もあって、少し面白い感じになってきました。
こっちはどうかな?と思って見ますが、うーんなんとも。
まあ、良しとしておきますか。
中身が見え始めたリトルモンスター達の間を縫って登っていきます。
樹氷に近づいてみると、溶けてきて氷柱ができていました。
足元が溶けた樹氷もあって、これもまた面白いなと。
標高が上がって来ると雪がまだ溶けずに残っているものも増えてきました。
もうこれで良いということにしておこう、と自分に言い聞かせながら登ります。
まあ、いいんじゃないですかね。
日が良く当たる場所の樹氷は中身が見えてきています。それらの中を縫うように登っていきます。
西吾妻山山頂にそろそろ到着です。このあたりから平坦になります。
山頂です。なにかまあ残念ですね。3月中旬は遅すぎました。
中身が半分見えた樹氷の間を進んでいると、先に西大巓(にしだいてん)が見えてきました。
左に見えるのが西大巓(にしだいてん、1982m)です。右に赤い屋根の建物が見えてきました。西吾妻小屋です。まず西吾妻小屋に寄ってみることにします。
このあたりも中身見えかけのリトルモンスター達がたくさんいます。まとまって見ると何かすこしかわいい感じです。
これはこれで面白いですよね。
西大巓(にしだいてん)の登りを後のお楽しみにしておきます。まずは西吾妻小屋に行ってみます。よくよく見ると生き残りのリトルモンスター達が結構いました。
西吾妻小屋に寄ってみます。無人の小屋です。
西吾妻小屋に到着しました。雪が溶けて少なくなっているため今日は1階から入れそうです。
しっかり表札もついてます。では、中に入ってみます。
東北の他の山と同じいつもの避難小屋の作りです。1階部分です。
2階部分には階段でアクセスします。
筆者が立ち寄った際は、ゴミは一切なく綺麗に掃除されていました。避難小屋はこうでありたいですね。避難小屋見学を終えて、西大巓(にしだいてん)に向かうことにします。
今まで下ってきた西吾妻山を眺めます。
そして、今から向かうのがこの西大巓(にしだいてん)です。
西大巓(にしだいてん)までは緩い登りです。のんびり歩きます。
何が一番残念かというと、今日は青空が一切ない事です。ずっと灰色と白の世界を歩いています。
ずっと単調な登りです。せめて周りの景色が見渡せたらいいのですが今日は曇っていて視界が利きません。
ここはひたすら直登方向です。直登でもそんなに傾斜はきつくありません。
もう少しで到着しそうです。少し開けてきました。
最後の登り区間を歩きます。天気がいまいちなのが残念です。
西大巓(にしだいてん、1982m)トップに到着しました。いつも通り360度景色を楽しみたいのですが、今日は見えません。西大巓(にしだいてん)からは西方向に飯豊連峰、北方向に朝日連峰が見えている、、はずです。
西吾妻山(2035m)です。西吾妻山から下って登り返すような感じで西大巓(にしだいてん)に登ってきました。
南方向の眺めです。磐梯山(1816m)の方面です。グランデコから登って来るひとはこの方向の麓から登ってくることになります。
西大巓(にしだいてん)の360度?の景色を堪能しましたので、いまからここで折り返し帰ることにします。まずは西大巓(にしだいてん、1982m)を少し下って西吾妻山(2035m)へ登り返しです。
西大巓(にしだいてん)を少しくだると平坦な移動のコースになります。
西吾妻山トップへの登りが始まりました。
緩やかな登りがつづきます。
中身の見えた樹氷がまた登場し始めました。
樹氷が溶けることによって奇妙な形になっているのも面白いですよね。
いまから溶けかけの樹氷達の間を縫って登っていきます。とくに特定されたコースはなく、いたるところに足跡があります。
溶けかけの樹氷の間を自由に登っていきます。
今日は時々青空らしき青が見えるのですが、すぐ灰色の空に変わってしまいます。
次来るときは溶ける前のリトルモンスターを見に来たいですね。
西吾妻山トップに向けて歩き続けます。
西吾妻山トップまで帰ってきました。東大巓(ひがしだいてん)方面を眺めます。
なぜか顔だけ雪が残っているリトルモンスター達が集まっていました。
今から帰る方向を眺めます。コース取りは自由です。時々バックカントリースキーの人が筆者を追い抜いて滑降していきます。
トレースのないところをスノーシューでザクザクと小気味よく踏んでいきます。
トレースのあるところに復帰しました。
振り返って見ると筆者のスノーシューの跡が残っています。
適当にザクザクとトレースのないところを踏んでリズムよく下っていきます。
帰りは地図上で天狗岩、吾妻神社と記される場所に寄ってみることにします。適当な箇所で進路を北西に変更して進みます。
岩の部分が見えてきました。トレースがあっていい目印になりました。このトレースを利用させてもらいます。
歩いてきた方向を振り返るとこのような感じです。
さらに進んで少し登ってから振り返ると、西大巓(にしだいてん)が見えました。西大巓(にしだいてん)で折り返してここまで歩いて帰ってきています。
標識の棒も立っていました。ここで左方向に進んでみます。
雪に覆われた何か建物が見えてきました。
雪に覆われた吾妻神社でした。右奥に見えるのが西大巓(にしだいてん)です。
吾妻神社が雪の塊のようになっています。
風下になり日が当たる方向はかろうじて雪が溶けて神社の表札が見える程度でした。
吾妻神社の周りは少し高台のようになっていますので、眺めが良いです。南方向には西大巓(にしだいてん)が見えます。
南方向の近くには西吾妻山です。よく見ると山の東面(写真での右側)の斜面に立派な樹氷が残っていそうです。少しズームしてみます。
筆者は西吾妻山の登り下りに写真左側の斜面を利用しましたが、右側の斜面の方が生存中のリトルモンスターに出会えたのかもしれません。今回は色々と残念ですが、次の機会の楽しみにしておきます。
吾妻神社からの眺めを楽しみましたので、帰りのため再び歩き始めます。
いろんなところに足跡が残っていて皆自由に歩いている雪原が続きます。
中大巓(なかだいてん)を正面に見て歩きます。中大巓(なかだいてん)には登らず、その麓を向かって左方向に降りていきます。
単調な下りがしばらく続きます。
また次はもうちょっと早めに見に来ることを告げて、生き残ったリトルモンスター達とはここでお別れです。
次はもう少し早めに来ないといけないなぁ、と次のことを考えながらのんびり歩きます。
やがて下りも終わり平坦になってきました。
右に何か看板が立っているようです。あとで振り返って見てみます。
冬山登山道の標識でした。
標識を過ぎると若干登りになり、登山口へのコースにつながります。
登山口への林間のコースに入る前に、下ってきた道を振り帰ってパチリ。
林間のコースに入ってきました。ここから登山口まではそんなに時間はかかりません。
気軽に歩いて下ります。
3月中旬にもなれば午後はシャーベット状になっているところも出てきます。足元に注意しながら進みます。
木々の背が高く密集してきました。登山口まではすぐそこです。
間もなく登山口に帰ってきました。スノーシューをここで取り外してザックに括り付けて、リフトに乗り込みます。
リフトでのんびり下ります。3月中旬の週末でしたがスキー・スノーボーダーはそこまで多くいませんでした。雪も良いので良いスキー場ですね。
下に降りてくるとすこしずつ青空成分が見えてきました。
一番最後のリフトも終点に近づいてきました。
最後のリフトを降りました。スキー場自体は晴れて良い天気のようです。
リフトを降りたらロープウェイ乗り場の建物までは少し登りです。最後の最後で登山靴が滑って転ばないように注意して登り切れば、今日の雪山登山終了です。
最後に
いかがでしたか?西吾妻山の雪山トレッキングの様子をレポートしました。残念だったのは、①いまいちの天気、②3月中旬と遅い時期のため大半の樹氷が溶けていたことです。そんな中、まだ何とか生き残っていたリトルモンスターに会えたので良しとしますが、やはりリトルモンスターに会うには年にもよりますが2月中旬~2月末が良いと思います。ただ1月・2月の晴天率が高くないエリアのため、週末とタイミングがあうかどうかそこは悩ましいところです。雪山自体は稜線や岩稜帯はなくスノーシューで楽しく歩けるレベルですので、初心者からベテランまでいろんな方が楽しめると思います。リトルモンスターに会う雪山登山の西吾妻山いかがでしょうか?雪山登山の山選びに本レポートが一助になれば幸いです。
宿泊案内
西吾妻山雪山登山の際の宿泊地としては天元台からのアプローチなら米沢エリア(山形県)、グランデコからのアプローチなら裏磐梯エリア(福島県)がおススメです。天元台ロープウェイの程近くに白布温泉があり、数件の宿がありますのでそこでの宿泊もおススメです。早朝の天元台ロープウェイやグランデコへのアプローチの手段は自動車になります。
米沢エリアやその他上記近隣エリアの宿泊施設の紹介(レビュー・施設情報)を以下で調べることができます。
楽天トラベル (米沢エリア) | 楽天トラベル (裏磐梯エリア) |
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じゃらんnet (米沢エリア) | じゃらんnet (白布温泉) |
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