トラベル三脚を探すと候補に必ず挙がってくるVelbon(ベルボン)のトラベル三脚。その中でもカーボン製のUTCシリーズが人気です。今回、ベルボンのUTC-53Ⅱ ASを実際扱ってみてその便利な点、その他インプレッション等レビューしていきます。
Velbon(ベルボン) トラベル三脚 UTC-53 Ⅱ AS レビュー
それでは開封しながらVelbon(ベルボン) トラベル三脚 UTC-53Ⅱ AS の紹介をしていきます。
箱には三脚+雲台がバッグに入った状態で梱包されています。このバッグはクッション性のあるものになっていて、縁にパイピング処理が施してあり丈夫な作りになっています。ファスナーはシングルファスナーです。
バッグの外寸は縦約13cm×横42cm×高さ約9cmです。
仕様・各種寸法
UTC-53Ⅱ AS | |
脚素材 | 5層カーボンパイプ |
ボディ素材 | マグネシウム |
段数 | 5段 |
脚径 | 26.2/22.4/18.6/14.8/11.0mm |
収納高(雲台付) | 35cm |
伸長(センターポール伸ばさない時の最高の高さ) | 129cm |
全伸長(センターポールMAX伸ばしの高さ) | 150cm |
センターポールの昇降長 | 21cm |
耐荷重(推奨積載質量) | 3.5kg |
付属 雲台 | 有 QHD-S5AS (アルカスイス互換シュー) |
雲台ネジ穴 | UNC1/4(細ネジ) |
雲台分離 | 可能 |
重量 | 1.33kg |
UTC-53Ⅱ ASの特筆すべき特徴を4つにまとめると以下のようになります。
- 収納高が35cm
- コンパクトでも5段なので129~150cmの全高が出せる
- カーボンファイバー製の脚で軽く・丈夫
- 脚先端の石突を握って軽くひねるだけで全段のロックを一気に解除でき、さらにスムーズに脚を一気にのばすことができる、Velbon(ベルボン)の特許「ウルトラロック」「ダイレクトコンタクトパイプ」機構
さらに付属の雲台QHD-S5ASはアルカスイス互換シューを備えており、固定力や動作精度が良く秀逸の出来です。
実際に展開 サイズ・寸法
収納高は35cmです。トレッキングはもちろん旅行で持ち運ぶとなれば40cm未満はほぼ絶対条件です。トラベル三脚は持ち運んでナンボですので、収納高と重さはとても重要です。表面の仕上げは光沢のあるものになっています。
すべての脚を180度逆になるまで完全に開きます。次にロータリーハブを摘まんで持ち上げながら回転させて、ロータリーハブの白丸点とボディの白線を合わせます。
ロータリーハブの白点とボディの白線の位置が合った状態でロータリーハブをセットすると完了です。
オレンジの矢印の部分が開脚角度調整ノブです。脚を閉じた状態にすると開脚調整ノブをスライドさせることができます。3段階の開脚角度を選択することができます。
一気に伸展できるのがこの三脚の真骨頂
脚が一気に伸展できるのがこのシリーズの真骨頂です。
まず脚先端の石突を握って反時計回りに回します。するとカクッカクッと計4回抵抗を感じますので、それがすべてのロックの開放を意味します。あとは一気に脚を最後まで伸展させて、石突を締まる方向にきつめに回して固定します。
ウルトラロック・ダイレクトコンタクトパイプが特徴!
特殊な断面形状をした上下の脚パイプをひねることで、パイプ同士が面で接して強力に固定される機構です。脚先端の石突を握って軽くひねるだけで全段を一気に固定・解除でき、驚くほど速いセッティングが可能です。
ですのでこのシリーズにはロックナットグリップがなく、外見上凸凹のないスリムな三脚になります。
伸長・全伸長
最も使用される角度の開脚で、すべての脚を伸展した状態です。この状態で占有スペースは一辺が98cmの正三角形となります。左の写真はセンターポール(エレベーター)を全く伸ばさない状態で、地面から雲台のシューまでの高さが約129cmです。右の写真はセンターポールをMAX伸ばした状態で、地面から雲台のシューまでの高さが約150cmになります。
好みが分かれる高さの調整方法
2段目脚下端にある調整用グリップ(ウレタン製のグリップ)を軽く回転させると2段目の脚を1段目に収納させたり、逆に出したりすることが可能です。
2段目下端にある調整用のウレタン製グリップです。他の段にはウレタングリップはないものの掴んで回転させることは可能です。
上の写真のように、2段目の脚を1段目に収納していくような形で高さの調整が可能になっています。2段目の脚は2番目に太い径ですので、それが収納されてしまうと上部に重量バランスが寄ってしまいそうですが、実使用においては今のところ問題ありません。
付属の雲台 QHD-S5AS
UTC-53Ⅱ ASにはベルボンの中型自由雲台QHD-S5ASが付属しています。
QHD-S5ASの特徴は以下の通りです。
QHD-S5AS | |
ベース径 | 37mm |
全高 | 98mm |
重量 | 318g |
推奨積載質量 | 4kg |
シュー | アルカスイス互換 |
三脚取り付けネジ穴 | UNC3/8(太ネジ)、UNC1/4(細ネジ)両対応 |
クイックリリースプレート | 付属有、QB-6ASが付属 |
トルク調整機構 | 有 |
水準器 | 無 |
水平パン独立機構 | あり |
アルミ削り出し部品が多く使用されていて、高精度で高剛性な雲台です。水平パン機構もしっかり固定が効いて、ボールの動きも全く問題なしのとても優秀な雲台です。
実際使用して気づいたこと・感じたこと
しかし、
ウルトラロック・ダイレクトコンタクトパイプ機構で本当に早くセットアップと撤収ができます。全段引き出して129cmと一般男性の身長から考えると汎用性のある高さになるので、全段引き出しさえ早くできればOKとも言えますが・・・
全段引き出してから、例えば最細径の脚だけ収納させるという調整がこの機構ではやや手間がかかります。石突を握って回転させてロックを解除してから、脚を縮めていく時にどの段の脚が縮むか(収納されるか)が予想しにくいのが少し気になります。
狙った段の脚を収納させるには、その上の段の脚を握って、縮めたい(収納させたい)脚下端のグリップを回転させてロックを選択的に解除する必要があります。
全段引き出しの時はすべての脚で揃った長さの脚が引き出される形になりますが、途中の長さでロックさせる時は、上の写真の様になります。
もちろんセットアップとしては石突を握って回転させてサッと引き延ばすだけですので速いのですが、それぞれの脚の下端部分はバラバラになります。
機能的には何も問題ありませんが、気になる人は気になるかもしれません。
ウルトラロック・ダイレクトコンタクトパイプ機構でカーボンパイプ内側に面で接して固定をする方式が影響するのか、脚を伸ばした時に脚に粉状のものがしばしば付着しています。使用を続けると気にならないレベルになります。手で軽く拭くと簡単に取れるようなものです。これも気になる人は気になるのかもしれません。
総評
- カーボン製トラベル三脚、収納高35cmとコンパクトながら剛性充分
- ウルトラロック・ダイレクトコンタクトパイプ機構で全段引き出し・全段収納は数ある三脚の中で最速
- 狙った脚の高さ調整はやや手間がかかる
- その脚伸長・ロック機構のために脚を外しての自己メンテナンスは困難
- 光沢のあるカーボンパイプの質感・仕上げに好みが分かれるか?
- 固定力・精度が優秀な雲台
- ジャストフィットの専用三脚バッグ
やはり一番の特徴はウルトラロック・ダイレクトコンタクトパイプ機構で全段引き出し・全段収納は数ある三脚の中で最速という点です。そして、収納高40cm未満の持ち出しやすい三脚ですので、本シリーズはトラベル三脚として選択肢に挙がるのは必然です。ウルトラロック・ダイレクトコンタクトパイプ機構のため各脚は外せませんので谷・沢・雪での使用の後は注意しておいた方が良いと感じました。もちろん普段使いには問題のないタフなコンパクト三脚のうちの一つと思います。
付属の雲台QHD-S5ASは単体でもそれなりの値段で販売されている雲台ですので、本シリーズとセットになっているならばセットで購入したほうが金額的にお得でおススメ。下で最新価格をチェック。
Velbon(ベルボン) トラベル三脚 UTC-53Ⅱ ASをどこで買う?
UTC-53 Ⅱ ASが現在品切れ、問い合わせになっている店舗が多いようです。1回り脚径の太いUTC-63 Ⅱ ASが入手しやすい状況の様です。
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最後に
今回ベルボンのトラベルカーボン三脚UTC-53 Ⅱ ASの紹介を行いました。軽く・コンパクトしかし丈夫という条件を満たす必要があるトラベル三脚は購入の際品選びに非常に迷います。全ての条件を満たすというよりは、どの条件を重視するかを決めないとなかなか購入に踏み切れません。本サイトが皆さんの三脚選びの参考になれば幸いです。
UTC-53 Ⅱ ASが現在品切れ、問い合わせになっている店舗が多いようです。現在は一回り脚径の太いUTC-63 Ⅱ ASが入手しやすい状況の様です。
その発売当初から筆者が常用しているトラベル三脚の「マンフロットElementトラベル三脚スモール」については、こちらに詳しくまとめていますので是非ご覧ください。
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