夏も冬もラップランドを楽しむ上で要(かなめ)となる場所、それがスウェーデンのキルナです。夏秋はクングスレーデンの重要ポイントである「ニッカルオクタ」や「アビスコ」へアクセスするために、冬春はオーロラ観察、アビスコやアイスホテルにアクセスするために必ずと言っていいほど利用するキルナ空港・キルナ駅があり、乗り継ぎの関係で宿泊する可能性も高い場所です。
そしてキルナにはまだまだ魅力があります。今回はキルナが誇る世界最大の地下鉱山の見学ツアーに参加してきましたので実際の写真を交えて紹介します。
世界最大の地下鉱山見学ツアー
今回参加したのはこの見学ツアーです。
鉄鉱石が本格的に採掘されはじめた1890年から現在も鉱山を運営しているLKABが主催の地下鉱山見学ツア―です。LKAB自体スウェーデン国が所有しており、キルナのツーリストセンターが連絡先になっていて街の公式見学ツアーになっています。キルナツーリストセンターに集合し、大型バスに乗り込んで直接地下540mのLKABビジターセンターに向かいます。
GUIDED TOURS TO LKAB’S VISITOR CENTREの詳細・予約はこちら
参加申し込み前に
Q:LKAB地下鉱山見学ツアーは毎日やってるの?
A:冬季期間は以下になります。(2018年)
- 1月~3月は火・木・土曜日のみの催行で、14時から開始。
- 1月20日土曜日、27日土曜日、ヨクモックマーケット期間の2月2日金曜日は午前中に追加催行。
- 4月は木・土曜日午後の催行。
- 5月は木曜日午後のみの催行。
A:夏季期間は以下になります。(2018年)
- 6月1日~17日、月~金は1日2回、土曜日1日1回
- 6月18日~8月5日、月~金は1日4回、土日は1日2回
- 8月6日~8月31日、毎日1日2回
Q:見学ツアーに参加する上で他に決まりや情報はある?
A:以下になります。
- 年齢制限:6才以上。
- ツアー参加代金:大人一人360SEK、同グループ内大人一人に対し子供一人(6歳~15歳)まで無料、それ以上は子供一人あたり60SEK。
- ツアー時間:2時間45分
- ツアー言語:英語
- 人数制限あり、事前にウェブサイトで予約推奨
地下鉱山見学ツアーに行く前に
まずはキルナツーリストセンターに集合します。
この建物(Folkets Hus)の中にキルナツーリストセンターがあります。冬外は-20℃ぐらいなので中で待ちましょう。
ツーリストセンター内にはキルナの街とLKAB鉄鉱山の模型がありますので見学ツアーの前に全体像を把握しておくのもいいかもしれませんね。
地下鉱山見学ツアー開始
朝10時45分(ツアー開始公表時刻は11時)にLKAB地下鉱山行きのバスがツーリストセンター前に到着、今回の参加者が皆バスに乗り込んでいきます。バスの入り口で係員が参加者の名前を確認します。
今回のツアーガイドの女性がバスの中でLKABの説明をします。ここからしばらく行くとLKABの入口があり、そこから以降は写真撮影は禁止されています。
LKABの入り口を過ぎるとバスはどんどん地下に潜っていきます。よくこんなトンネル堀ったなぁと感心せざるを得ない凄まじい距離のトンネルです。世界最大の地下鉱山は伊達ではありません。
バスが地下トンネルをどんどん下ること15分、地下540mのLKAB地下鉱山ビジターセンターに到着です。
LKAB地下鉱山ビジターセンター到着
参加者はLKAB地下鉱山ビジターセンターの入り口にあるヘルメットを装着することが義務付けられています。その後ガイドから、万が一の崩落や有毒ガス等のアクシデントがあった際の避難場所・ルートの説明が行われます。
鉄の鉱脈は少なくとも地下2000mまで続いて存在していることが分かっていて、現在は地下1000mで採鉄作業を行っており、メインの穴は地下1365mの地点まで掘り進んでいるとのことです。
ガイドが指示棒で指しているのがキルナの街が乗っかっている岩盤層です。
どんどん採掘することでキルナの街に大きな問題が生じました。
キルナの街が乗っかっている岩盤層の先端部分に亀裂が入りだしたのです。
今後採鉄をやめるのか、どうするか?
そこでキルナの街議会が決めたことは、
なんと、「キルナの街機能そのままそっくり東側に移転!」でした。
地下1365mまで鉄の採掘を完了した場合、赤枠内の地区が岩盤が不安定になって危険であると判断されています。
この赤枠の中には「キルナ市役所」、「キルナ教会」などのキルナ街の中心にある観光場所、ホテル、住宅地が含まれています。
そして上の写真の右側(東側)の黄色の部分がキルナの街機能を新しく建設する場所です。
そのため、現在LKAB・キルナ街は補償プランを用意し、それぞれの住宅の移動・購入を手助けしています。
ランドマーク的な「キルナ市役所」の時計塔はすでに取り外され、新しい場所に建てられており、「キルナ教会」は工夫してそのまま移動させることになるかもしれないとのことでした。
実はキルナ駅(列車駅)でさえ赤枠の中にあります。キルナ街としてはキルナ駅も新市役所の北側に建設することを想定しているようですが、これに関してはキルナ街の予算等の問題がありまだはっきりしないようです。
2035年をめどにキルナの街機能の新しい場所の移転完了が予定されており、もう2018年夏から新市役所が稼働し始めるということで、キルナはこれからどんどん変わっていくことになります。
最初に一番大事なキルナ街とLKAB地下鉱山の関係の説明を聞いたあとは、岩盤をくりぬいて建設されたホールのようなところでLKABの歴史・仕事内容のムービーを観ます。
LKAB(スウェーデン)は鉄の産出量としては世界トップではないものの、良質な鉄を様々な国(主にドイツなどのEU諸国、中東、中国、USA)に輸出しています。産出量のトップはオーストラリアということでした。
ガイドが、どうやって地下トンネルを掘り、鉄を掘り出し、それを運搬していくのかをパネルを使って詳しく説明します。
鉱脈の中を水平に掘り進め⇒縦方向にドリリング⇒そのあと爆破して崩れ落ちてきた鉄鉱石を採取⇒鉄鉱石をトロッコにのせて⇒中央エレベーター的なもので地上に上げてくる、という仕組みです。
採取されて地上に上げられた鉄鉱石がどのように精製もしくはその後に添加物を加えられていくのかを超巨大パネルでガイドが説明します。
先ほどのパネルにあった、崩れ落ちてきた鉄鉱石を採取して運ぶ巨大マシンです。
先ほどのパネルにあった、縦方向にドリリングするマシンです。
数ある展示されたマシンの中でもこのドリリングマシンが最高に不気味なほどにメカメカしています。
さきほどのパネルにあった採取された鉄鉱石を運搬するトロッコです。最終的に中央エレベータに鉄鉱石を移すために底が開く必要がありますので、このような通常の敷き線路ではないシステムになります。
これは先ほどのパネルにあった、中央エレベーター的なもので地下の鉄鉱石を地上に上げてくるシステムの説明です。40トンの鉄鉱石を1回で上げることができるエレベーターです。
採鉄から運搬の一通りの流れの展示を見学したら、コーヒー休憩タイムです。
カフェ横には製鉄する前の鉄の玉を記念に持って帰れるように小分けの袋が用意されていました。
コースの最後は博物館スペースを見学(ガイドの説明はなく、フリー)します。昔の様子の写真が時代を感じるとても印象深いものばかりでした。
1890年開業してからの歴史を感じるものが多く展示されていました。
皆自分のペースで博物館部分の見学が終わったら、行きに乗った大型バスに乗り込んでキルナツーリストセンターに帰ります。これでLKAB地下鉱山見学ツアーは終了です。
最後に
いかがでしたか?キルナがほこる世界最大の地下鉱山見学ツアー。まずLKABの敷地内に入ってからの長い地下トンネルに本当に驚きます。ビジターセンターも非常に見やすいですし、展示されているものの規模の大きさに圧倒されること間違いなしです。そしてそれだけでなく、やはりガイドが説明を一番最初にもってくるだけあって、LKABとキルナの関係、今後のキルナの街機能移転が重要で興味深い事項です。これからどんどん変わってゆくキルナに注目です。
このLKAB地下鉱山見学ツアー、キルナに訪れた際にタイミングがよければ是非参加されてみることをお勧めします!
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