月山(がっさん)
山形県の中央部にある標高1984mの山です。湯殿山(ゆどのさん、標高1500m)、羽黒山(はぐろさん、418m)とともに出羽三山の一つに数えられ、修験者の山岳信仰の山になります。冬期は志津駐車場まで車が通行可能ですのでそこに駐車し、積雪期限定の湯殿山~姥ヶ岳~月山縦走周回コースを楽しむことができます。湯殿山までの登りは序盤森林帯ですが、それを抜けると見渡す限り雪原レベルの斜面のハイクアップになります。以降には木々はありません。湯殿山からいったん下り、姥ヶ岳(うばがたけ、標高1670m)山頂への登り返しも一面雪の斜面の登りになります。さらに姥ヶ岳から月山山頂への登り返しもコースというよりは一面雪の斜面を登っていくことになります。3山の縦走そして周回で下山して帰ってくることができるため雪山の魅力たっぷりの筆者のお気に入りの雪山です。志津駐車場は十分な広さがあり駐車しやすいですが、近隣にトイレはありません。そのため、山形道を利用の場合は月山湖PAでトイレを済ますか、物品の購入は西川町のセブンイレブンに立ち寄る等の検討が必要です。全行程を通してスノーシューで歩くことができますが、距離が長くなりますので、アイゼンのほうが少しでも軽快に歩くことでき無難かもしれません。
月山の場所
登山ルート
湯殿山~姥ヶ岳~月山縦走周回コースを以下に示します。本レポートは悪天候のため以下の周回コースを歩いていません。今回の詳細は山行記中の写真・文章をご参照ください。なお、以下の縦走周回コースの雪山山行記は以下のレポートになります。こちらも是非ご覧ください。
登山口・ベースの施設
冬期の月山(積雪期限定の湯殿山~姥ヶ岳~月山縦走周回)登山はこの「志津駐車場」がスタート地点になります。例年、4月の中旬に月山スキー場がオープンしますので、その後はスキー場の駐車場まで車で登ることができますが、その場合は湯殿山から登ることはできません。冬期のこの「志津駐車場」はスペースは広くとても余裕のある場所ですが、近隣にトイレがないことに注意が必要です。冬期、山形道を利用の場合は月山湖PAでトイレを済ますことや、物品の購入等は西川町のセブンイレブンに立ち寄る等の検討が必要です。
山行記
とある年の3月中旬、朝の6時前に志津駐車場に到着しました。北関東からの出発時の天気予報はこのエリアは晴れだったのですが、現地に着くと写真のような曇天です。そもそも、山形道寒河江SAから月山ICまでの区間、かなり濃い霧で覆われており数m先しか視界が効かない状態での運転で、薄々現地の天気が良くないことは予想していましたが…、ちょっと残念な思いで歩き始めます。
志津駐車場から歩き始めて、いくつかの民宿や旅館を通過すると志津バス停も出てきます。このまま舗装路を歩き続けます。
舗装路の車両通行止めが見えてきました。
4月中旬の月山スキー場オープンまで、これより先の舗装路は通行止めになります。この通行止めを越えて歩き続けます。
天気が良くなってほしいと願いながら歩きます。深夜出発時までは天気予報は良かったのですが…
雪の壁が段々高くなってきています。
雪害により携帯電話の電波がつながりにくくなっているため、無線機などの準備等注意するように記されています。
進行方向左を見ると近隣の山は見えるものの、雲がどんどんこちらに流れてきています。残念ながらこちら側の天気が悪くなりそうです。
4月中旬の月山スキー場オープンまでまだ日がある3月中旬の日曜日ということもあり今朝は除雪車も休んでいるようです。
緩い登り傾斜の舗装路をしばらく歩いていると、次第に両サイドの雪の壁が高くなってきました。
曇天なので、せめて雪の壁を見て楽しんでいます。
舗装路はここで分岐です。湯殿山➤姥ヶ岳➤月山の縦走周回コースでなるべく雪上歩きを長くしたい場合はここを直進です。ここで右の分岐を選択しても、ある程度舗装路を歩いてから雪上に出ることで上記周回コースを楽しむことはできます。
今日は考えないといけません。
そうです。
天気が悪すぎです。山の方角の雲はかなり厚く黒くなっています。
はるばる月山まで来ましたが、今日は湯殿山➤姥ヶ岳➤月山の縦走周回コースを諦めることにしました。せっかくなので、舗装路を登り続けて「雪の回廊」を楽しんで、月山スキー場入口あたりまで行って引き返すことに予定変更です。
ということで、今回は右の分岐(舗装路)を選択して歩き続けることにしました。
せめて今日は雪の回廊を楽しみます。開き直ってのんびり歩くことにしました。
車で通過するとすぐの場所も歩くと結構時間がかかります。
雪の回廊の壁が段々高くなってくることを感じます。
それにしても天気が…
上空を舞う風が強くなってきました。吹雪そうな雰囲気を感じます。
いままでドライだった舗装路に強風で粉雪が舞い始めました。風とともにパチパチと雪が顔に当たります。
地図でもわかる通り舗装路はつづら折りになっています。そろそろハードシェルを羽織ることにします。
強風が吹き始めました。舗装路の粉雪が強風に煽られて舞っています。ハードシェルにパツパツと雪がひっきりなしに当たっています。
雪だまりに強風が当たって舗装路だけでなくいろんな所で雪が舞っています。なんでこんな日に登っいるんだろうと時々我に返ります。先ほど決めた通り、今日は月山スキー場入口で引き返します。
日陰になる舗装路は雪に覆われていました。チェーンスパイク等を装着していないこの状態では、舗装路を雪が薄く覆っているだけの状態が意外と滑りやすいので注意です。
目の前の雪だまりに強風が当たって雪がジェット流のように巻き上がっています。もう勘弁してほしいです。雲が厚く辺りも何か暗くなってきました。
つづら折りの舗装路の登りを歩き続けると雪の回廊の壁がより一層高くなってきました。この感じは黒部立山アルペンルートにも負けていない?!
高さの参考に120㎝のトレッキングポールを立てかけてみました。
車も人もない雪の回廊を楽しむには月山、ありだと思いますが…どうでしょう?
良いですよね、この感じ。
標高が上がるにつれて豪快な雪の壁になります。月山スキー場入口までもう少しです。
最後のカーブを曲がると除雪車が駐車されている直線部分にやってきました。
先ほどまでの吹雪が止み一瞬の晴れ間のうちに除雪車をパチリ。幼少期に「はたらくじどうしゃ」という本にかぶりついて何回何回も読んでいたことを思い出します。
大人が読んでも未だに楽しい絵本の一つです。非常におススメです。
童心に返ってロータリー除雪車を近くでまじまじと眺めて少し興奮している筆者です。
気づいたら上から除雪ドーザーが筆者を見下ろしていました。
除雪車の撮影を楽しんでいたら、またすぐに暗くなってきました。
キャタピラで固められた雪が凍った場合、結構歩きにくいんですよね。こんな天気ですが先行者がいるようです。
4月中旬に月山スキー場がオープンする頃はこのあたりは舗装路になりますが、3月中旬はこんな感じです。
この方角でこの眺めは、もう諦めるしかないということですね。適当に今見えている範囲で少し高いところまで登って引き返す予定にしました。とりあえず月山ペアリフトの乗り場に行ってみます。
月山ペアリフトまでの雪道は4月中旬のオープン以降の景色と全然違います。広大な雪の斜面をトラバースしながら月山ペアリフト乗り場に向けて歩きます。
3月中旬はリフトの支柱はこんな感じでほとんどが雪に埋もれていました。ペアリフト乗り場から少し登ってみることにします。
雪の斜面を登りますが、基本ノートレースです。たまたま先行者が付けたトレースを吹雪で消えそうになる前に見つけましたので追ってみます。
吹雪くと瞬く間に先行者のトレースが消えていきます。自分の足跡も瞬く間に消えていきます。
もう少し登ってから引き返すことにします。
雪面を雪煙を上げながら風が吹きおろしてきます。雪が顔に真正面から当たって見えなくなるので、登ってきた道を振り返って風が止むのを待機しています。今日は残念な天気ですが、向こう側はまだマシなようです。
一連の強風が止むとカメラはこんな感じになっています。冬山登山では日常茶飯事ですし仕方ないですね。このような状況でタフに使用し続けていますが今までノートラブルで安心のnikonです。
この登り部分を登り終えたら引き返すことにします。
予定していた登りを登り終えました。今日はここで引き返しです。せっかくの場所ですが、今日は月山方面は吹雪いて真っ白で全く視界が効かない状態でしたので写真を撮ることをやめました。
強風が雪を巻き上げています。今から引き返して下り始めです。下界に下りてからの温泉のことでも考えながら歩くことにします。
下ってきて木々の中に入ると風の影響はほとんどなくなりました。トレースも特にありませんし、木々の中を自由に歩いています。
スキー場入口近くまで下ってきたら、先ほどの吹雪とは違って雲の切れ間から青空が見えてきました。振り返って月山・姥ヶ岳方向を見てみると吹雪いて真っ白です。今日は運が悪く月山・姥ヶ岳に限定して厚い雪雲に覆われていたようです。
4月中旬の月山スキー場オープンの頃はこのあたりは除雪されて車両通行が可能になっている場所です。
4月の月山スキー場オープンの頃はこのあたりから先は大きな駐車場です。3月中旬のこの日はまだ除雪されていない状況でした。今日は舗装路を歩いて帰りますので、このまままっすぐ歩いて雪の塊を越えていきます。
行きの登りの際に写真撮影を楽しんだ除雪車を過ぎて下っていきます。
舗装路を下り始めると、悲しいことに今更晴れてきました。振り返って月山・姥ヶ岳方向を見てみると雪雲がかかって真っ白でしたので、どうやら今日は下界のみ晴れているようです。
こうなったら、せっかくですので雪の回廊の撮影を楽しんで帰ることにします。
湯殿山方面の雪雲が晴れてきたようです。積雪期限定の湯殿山➤姥ヶ岳➤月山縦走周回はまた次の機会に楽しむことにします。
黒部立山アルペンルートよりも規模は小さくなりますが、壁を間近に見ながら長距離歩けることと、見物客や通行の車両がないことを踏まえると筆者は雪の回廊は月山の方が好みです。
日が当たる場所は舗装路はドライです。
このカーブは行きでも印象的でしたが、もう一度帰りに撮影してしまいます。
まだまだ雪の壁が続きます。
陽が当たらない部分は除雪してもすぐに雪に覆われてしまうようです。結構下ってきましたがまだまだ壁の高さは相当あります。
雪の壁に120㎝のトレッキングポールを立てかけてみました。壁の高さが大体お分かりになりますでしょうか?
南東方向に近隣にある赤見堂岳(1446m)が綺麗に見えています。素敵な山容です。
今日は雲が多くて詳細が見れませんが、小朝日岳(1647m)、雲に隠れて大朝日岳(1871m)、中岳(1812m)あたりが見える方向です。南方向の眺めです。
雪の壁に直接触れることも簡単にできます。何層にも重なった様子が見て取れます。
昨年秋の積もり始めから今年の春までに何層にも重なった雪の層を見ることができます。
下りも終盤になってきましたが、まだまだ雪の壁が両サイドにそびえ立っています。
行きにみた分岐まで下ってきました。
行きは分岐を進行方向右に舗装路を歩き続けましたが、積雪期限定の湯殿山➤姥ヶ岳➤月山縦走周回の場合はまず湯殿山に向かう際にここを直進していくことが多いです。せっかくなのでちょっと登ってみます。
手が届きそうな場所にある交通標識が良い感じです。悲しいぐらいに晴れている下界ですが、今日は山方面は吹雪いて真っ白になっていますので、残念ですがこのまま帰ることにします。
先ほどの分岐部から歩いて下っていると行きの際にみた除雪車の場所まで戻ってきました。
除雪車を通過すると、行きの際に撮影した通行止めの柵の場所にきました。
行きの道をそのまま帰ってきました。志津駐車場に到着です。悲しいぐらいに下界は晴れています。まあこんな時もあります。今日は立ち寄り湯にでも寄ってのんびり帰ることにします。
最後に
いかがでしたか?山形県中央部にあり、湯殿山、羽黒山とともに出羽三山の一つに数えられ修験者の山岳信仰の山である月山(がっさん)の雪山山行記(天候悪化のため途中撤退編)をレポートしました。筆者が北関東を出発した深夜の時点では天気予報は晴れでしたが、現地に到着するとちょうど姥ヶ岳・月山が厚い雪雲の中にあり真っ白で視界が効かないという不運な状況でした。月山に向かう際、寒河江あたりから濃い霧で運転中視界が効かなかった時点で、薄々嫌な予感はしていました。現地に着くと、やっぱりそうか…という感じでした。筆者自身のルールとして、楽しめる天気ではない時はきっぱりと雪山登山を諦めることにしています。ということで、今回は山を楽しめなかった分、登りも下りも雪の回廊を歩いて楽しむことにしました。この雪の回廊はあなどるなかれ!黒部立山アルペンルートの雪の回廊よりは小規模ですが、十分な壁の高さで迫力があります。これだけでも月山エリアが楽しめると思います。雪山登山に関しては今回は残念でしたが、3月後半から4月にかけて天気が落ち着いてくることが多いエリアですので、また後日、積雪期限定の湯殿山➤姥ヶ岳➤月山縦走周回を楽しみたいと思います。そのレポートについてはまた後日UPしますのでお楽しみに。
積雪期限定の湯殿山➤姥ヶ岳➤月山縦走周回のトレッキングレポートはこちら
宿泊案内
月山登山の際の宿泊地としては寒河江・月山エリアだけでなく、山形市・天童市・東根市辺りも候補に挙がります。山形市・天童市・東根市の宿泊の場合、コンビニや大型スーパー、ドラッグストアにファミリーレストランなどが近くにあるビジネスホテルが非常に便利です。
上記近隣エリアの宿泊施設の紹介(レビュー・施設情報)を以下で調べることができます。
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