会津駒ケ岳(あいづこまがたけ)
福島県の桧枝岐村にある標高2133mの山です。尾瀬国立公園の一部として指定されています。登山中からすでに尾瀬の名峰である燧ヶ岳や至仏山が間近に見えるだけでなく、頂上からは平ヶ岳、中ノ岳、越後駒ケ岳、丸山岳、会津朝日岳、谷川岳方面の山々を眺めることができます。頂上付近とその稜線は夏期は草(湿)原で冬期は広大な雪原の斜面となります。会津駒ケ岳山頂から北北西の方向に中門岳山頂がありそこまで足をのばすのも眺めが良いコースです。登山口から階段を上ると急登が始まりますが、そこで体力を持っていかれないように後半にも体力を温存しながらひたすら登りつづける感じになります。序盤の尾根登りを過ぎればコースは広く雪原のようになっていきます。雪の状態次第ですが、全行程を通してアイゼンを最初から装着が無難と思います。冬期は登山口直下の駐車場は車でアプローチ不可ですので、近隣の指定された駐車場(村営グランド駐車場)を利用することになります。冬期は登山口のトイレが利用不可のことがあり、近隣にある道の駅(尾瀬桧枝岐)のトイレが常時利用可能です。
会津駒ケ岳の場所
登山ルート
登山口・ベースの施設
冬期のアプローチとしては、国道352号を南西向きに走って道の駅桧枝岐(ひのえまた)にまず到着するところから始まります。道の駅桧枝岐は24時間トイレの使用が可能です。また道の駅の駐車場もスペースがかなり広く余裕があります。深夜に到着時、道の駅の駐車場の車内で仮眠をとっている登山者も良く見かけます。会津駒ケ岳の積雪期登山においては登山者用の駐車場は上の写真の「村営グランド駐車場」になります。そして4月除雪後以降は、登山口の階段の麓に駐車することが可能になります。ちなみに道の駅と村営グランド駐車場は結構距離があります。
村営グランド駐車場の入り口は気づかずに通り過ぎてしまいがちです。目印は右手の「尾瀬桧枝岐温泉」の看板と、トイレやスポーツのピクトグラムの看板です。ここで右に入ります。
P1の駐車場が空いておればP1が一番近い場所になります。
山行記
とある年の3月の中頃に桧枝岐にやってきました。なんだか年々雪が減ってきているような気がします。村営グランド駐車場に駐車し、サッと着替えたら出発です。駐車場からまず会津駒ケ岳登山口にむけて国道352号を歩きます。
「駒ケ岳登山口」、「民宿すずのや」まで来るとその向かい側(写真右側)が登山口になります。
会津バスの「駒ケ岳登山口」の看板があります。
登山口です。滝沢登山口(階段の場所)まで3月中はまだ雪で覆われた道路になります。早朝は凍って滑りやすいのでここからアイゼンを装着しても良いと思います。仕事終わりの徹夜で運転してここまで来た筆者はここでザックをおろすことが面倒でそのままつぼ足で登り始めました。
ここでザックの中身を見ないまま登り始めたことがその後の悪しき事態を引き起こすことを知らずに・・・
登山口左手にはトイレがありましたが、筆者が立ち寄った時はCloseでした。トイレは道の駅桧枝岐で済ませておくのが良いと思います。
トイレを過ぎてすぐの所に「トレッキングマップ」なる看板が立ってありました。主に会津駒ケ岳に関するマップになります。
トイレを過ぎてからは、このような雪道を歩いていきます。今歩いている部分は橋になります。ある程度の幅がありますので注意して渡れば落ちることはないと思います。
無雪期は車道ですのでつづら折りの道を登っていくことになります。
今回は朝6時に駐車場を出発しました。朝日が山々を照らし始めたようです。
木々の中の静かな道を歩いていきます。
つづら折りの車道を登りつづけます。傾斜は車道ですので緩やかです。
意外と長いこの車道部分です。傾斜もないのでのんびり歩き続けます。
沢を流れる川は凍っていませんでした。3月も終盤で色々雪が溶け始めています。
つづら折りの登りの最後を終えるとトラバース気味の道になってきました。
朝日が差し込み始めました。
雪に覆われる車道を歩き続けて、滝沢登山口に到着しました。なお、無雪期はここに至るまでの車道に駐車スペースがあります。階段の先も当面雪がなさそうに見えたため、このままつぼ足で登り続けることにしました。
階段を登り終えたらやはり雪はありませんでした。土の部分を登っていきます。
土の登りをしばらく進むと雪に覆われた部分が所々出現し始めました。アイゼンを装着するスペースはまだないのでこのままつぼ足で進みます。
とうとう100%雪に覆われ始めました。しかも写真の通り踏み抜き注意!です。絶妙につぼ足で続行できる斜面です。
今日の天気は良さそうです。
凍結しているわけではないので絶妙につぼ足で登り続けることができる斜面です。もちろんスペースがあればアイゼンを装着したかったのですが、しばらく尾根登りでスペースがないのでそのままです。
この時期は雪の締まりがなく一歩一歩踏み込んでも結構沈んだりしますので、結構疲れます。
ずっと登りです。まだまだ序盤で黙々と登ります。
写真の通り雪深くトレースを踏んでも一歩一歩が沈みます。
しばらく登っていると営林署の立て看板のある場所までやってきました。ザックをおろしてここで初めて休憩をしましたが、ザックの中を見て驚きました。
ザックの中の飲料水ですが、350mlのほうじ茶2本しか入っていませんでした。
しかも1本目のほうじ茶を勢いよく飲んだ後にそれに気づきました。
この時点でほうじ茶があと500mlしかない状態になってしまいました。
仕事終わりで徹夜で運転して現地に向かって、かつ水分補給用のペットボトルを買うのを忘れていたのに加え、行動食も買うことを忘れていました。
寝不足状態で頭が回らず色々忘れたまま登り始めてしまっていました。
補給するべき水分や食料はほとんどないのに、今のところ使用していないスノーシュー(約2㎏)はザックに括り付けているという、チグハグさ・・・悲しくなります。
とりあえずまだ登り続けます。相変わらず一歩一歩が結構疲れる斜面です。
先ほどの発覚事項により、今日は
会津駒ケ岳トップに至るまでに、帰りの分の最低限の量(150mlと一応決めておきました)まで手持ちの水分量が減少したらそこで引き返すことに予定の行程を変更しました。
あわよくばトップまで行きたいところですが、まだまだ登り序盤ということで今日はトップまでは無理そうです。残念でなりませんが、とりあえずトップが見えるところまで行ければ・・・と思いながら歩き続けます。
しばらく登っていると、パッと視界が開ける場所になりました。
ここでトラバース気味に登っていきます。なんだかんだでまだアイゼンを装着せずに登っています。慎重に歩きます。
雪深くズボッといきますのでつぼ足でも絶妙に何とかなりましたが、アイゼンがあった方が安全です。
先ほどのトラバース登りを終えるとヘリポート跡と呼ばれる場所に出てきました。やっと広いスペースになりましたのでアイゼンを装着します。
とりあえず座って休憩します。
休憩しながら、いまからの登りを眺めます。まだまだ序盤です。今後もひたすら登りです。
最初の頃に比べるとここから以降は広い斜面の登りになります。
相変わらずの雪質で、一歩一歩の踏みだしが疲れるパターンです。
会津駒ケ岳はバックカントリースキーでも人気の山ですので、スキー板を担いで登っている人も多くいます。この日は筆者のような雪山登山者よりもむしろスキーを担いで登っている人の方が多かったです。
一歩一歩が疲れます。
直登方向やジグザグなどで登っていきます。
少しずつ木々の密度が低くなってきた印象ですがどうでしょうか。
まだまだっぽいですね。
右手の景色が開けてきました。
しかし登りはまだまだ続きます。
登っても登っても写真のようなズボズボはまる雪斜面が繰り返し出現します。
登り途中に時々休むというペースダウンが始まりました。3月終盤にしては厚着でスタートしてしまったこともあり汗をかき始めたことと、なにより今回は水分不足かもしれません。
おまけに今日は晴天で背後の方向から太陽がずっと筆者を照らしています。頭が暑苦しくなってきました。ニットキャップではなく、夏登山用のヘリオスサンハットで来るべきでした。
天気が良すぎて暑いため、木陰に入りたくなります。
木陰を出ると暑くて足取りが重いです。今日はどうも色々調子が出ません。おそらく思うように水分摂取できていないからでしょう。
右手の景色が開けていますが、まだ会津駒ケ岳は見えていません。
何度も何度も出てくるズボズボの雪斜面です。黙々と登り続けます。
たまに傾斜が緩くなるところが本当に楽に感じます。ここで左手も開けますので見てみます。
遠く日光白根山(2578m)が見えています。後でまた拡大しようと思います。
登りはまだまだ続きます。
背後からの日射がかなり強く、汗も多くなってきました。少ない手持ちの水分ですが、適宜水分摂取をしながら進みます。
できる限り木陰を探しながら歩きます。今日は足取り重くペースが上がりません。
会津駒ケ岳から続いている稜線が視界に入ってきました。
そして何度も繰り返すこの斜面。暑いこともあり少しうんざりしてきている筆者です。
木陰をこんなに大事に思ったことはありません。木陰部分で適宜休みながら進みます。
次第に開けていますが、会津駒ケ岳が見える場所まではまだまだです。
そして相変わらずの登り。
左手に一際目立つ山が見えてきました。ズームして楽しみます。
燧ケ岳(ひうちがたけ、2356m)です。東北地方以北の最高峰です。 南東の山麓は尾瀬沼で、尾瀬国立公園内にあり、至仏山とともに尾瀬を代表する山です。
右手には会津駒ケ岳が見えてきました。見える山が増えてきたら少し足取りが軽くなります。
といっても登りは続きます。左手の景色も楽しんでみます。
印象的な山が見えています。ズームしてみます。
日光白根山(2578m)です。トップの形が特徴的ですね。
さすがに木々の密度が低くなってきて上空が開けてきました。
何度も登場するズボズボと沈む雪斜面を越えていきます。
木々が無くなってきました。会津駒ケ岳を視界に捉えます。
このあたりから水分不足による疲労(脱水症状か)と徹夜明けのための頭痛のような症状が出現し始めました。厳冬期のアウターパンツをはいていたことに加え、強い日射が続いたために汗も大量にかいてしまい、今日は何もかもがまずい状況になってしまいました。
駒の小屋の場所も会津駒ケ岳(2133m)も見えてきましたが、手持ちの水分は厳しく体調もマズい感じです。キリの良いところまで行って写真を撮ったら休憩して帰るしかないな、と歩きます。
今のうちに写真を撮っておこうということで、左が会津駒ケ岳です。
そしてこのあたりになると、左手には燧ケ岳(2356m)、至仏山(2228m)を眺めることができます。
至仏山(2228m)は尾瀬国立公園に属する名峰です。雪に覆われた至仏山美しいですね。
休憩する場所を探しながら登っています。残念ながら今日は色々な要因で体調が優れないことと手持ちの水分量があらかじめ決めていた量まで減ってきたため、次の休憩で折り返すことにします。
このあたりの木陰で会津駒ケ岳を眺めることができる場所で大休憩をすることにしました。
駒の小屋方面、会津駒ケ岳まであと標高差230m程度でしたが、ここで座って休憩です。折り返すための最低量と決めていた水分量が150mlでした。この休憩で少し飲んだだけで残りのほうじ茶が150mlになりましたので、手持ちの水分量的にも残念ですが今日はここで折り返しです。
西方向に平ヶ岳(2141m)も見えていました。
今回は残念ですが、折り返しで下り始めます。登ってきた雪の斜面をただ下るのみです。
下りながら北東方面を眺めます。
森林帯に入る前に駒の小屋方面と会津駒ケ岳を振り返ってパチリ。
苦労して登って斜面ですが、下りは泣けるほどに楽です。
行きがひたすらの登りならば、帰りはひたすらの下りです。
トレースを辿って下っていたのですが、行きの登りの際に通らなかった箇所を下っているようです。
スマホで位置を確認して方向修正をしながら行きの登りのルートに適宜修正をします。ここは右方向に下っていきます。
登りに比べると、あっという間にヘリポート跡近くまで下ってきました。一度小休憩をしておきます。
トラバース気味に下るところは、登りの際にも注意して通過した場所です。振り返って見てみます。
下ってきたところを振り返って写真を撮ってみました。行きと違って帰りはアイゼンを装着していますので安心感があります。
営林署の立て看板まで下ってきました。気温が高いため昼を過ぎると標高が下がるにつれて雪がグシャグシャになって踏み抜き多発になりますので注意です。
かなり下ってきました。時々不意に踏み抜きがありヒヤッとします。
雪が柔らかくてもこのような斜面の時はアイゼン装着の方が安心感があります。
滝沢登山口の階段まで戻手ってきました。疲れた登りでしたが、下りは悲しいぐらいに速いですね。
雪に覆われた車道部分を歩いて下っていきます。車道の傾斜は終始緩やかなものです。
行きの際にも通過した木々の間のコースです。ここまできたら登山口までもうすぐです。気温が高くなるにつれ朝にはなかった踏み抜きが多発しています。
登山口のトイレが見えてきました。そこを過ぎれば登山終了です。
登山口から舗装路(国道352号)を歩いて村営グランド駐車場に戻ってきました。今回はとにかく水分不足でこのような行程になってしまいました。サッと着替えて桧枝岐の道の駅の自動販売機で水分補給です。
最後に
いかがでしたか?会津駒ケ岳の雪山トレッキングの様子をレポートしました。雪山はもちろん登山で無理は禁物ですので、引き返しに関しては仕方ないのですが、色々な残念な要因があり、ある意味起こるべくして起きてしまったために反省です。晴天の残雪期登山は厳冬期登山とは異なり暑さを感じることも多く、人によっては半袖で登る人も多く見かけます。日射量も多くなるため、キャップやアウターパンツも厳冬期よりも軽装が好ましい状況になることや、汗をはじめ不感蒸泄量も増えますので手持ちの水分を多く持っておくことが重要な事項です。さらに今回は、仕事終わりでそのまま徹夜の運転、現地到着後にすぐ登山を開始するという体調管理の面でも悪手を踏んだことも重なりました(昔は徹夜明けでも問題なかったのですが、年齢とともに体力が低下したのか…)。そして挙句の果てには登山開始前にザックの中身を確認するのを忘れていました。無雪期の会津駒ケ岳を知っていたため、普段より気が緩んで雪山登山としての準備が色々と不足していたと思われます。今回は絶景としてのレポートがあまりできずに終わってしまいましたが、会津駒ケ岳の雪山登山はすばらしい自然の中を登り続けた後に尾瀬方面・越後三山方面の山々の絶景が待っています。雪山登山の山選びに本レポートが一助になれば幸いです。
宿泊案内
会津駒ケ岳登山の際の宿泊地としては桧枝岐エリアがおススメです。桧枝岐エリア以外では南会津エリアや那須塩原エリアでの宿泊も選択肢に挙がります。早朝の御池登山口へのアプローチの手段は自動車になります。南会津エリアや那須塩原エリアは近隣と言ってもそれなりに運転時間がかかりますのでその点は注意が必要です。
桧枝岐エリアやその他上記近隣エリアの宿泊施設の紹介(レビュー・施設情報)を以下で調べることができます。
楽天トラベル (南会津・桧枝岐エリア) | Yahooトラベル (西那須野駅周辺) |
Booking.com (那須塩原市エリア) | じゃらんnet (南会津エリア) |
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